都営バス資料館

都営バスの局番(1)-現在の法則

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都営バスでは、車輛管理のためにつけられている車番を「局番」と呼んでいる。バスの側面に「C-W293(新宿)」と書かれているのが旅客案内向けの局番である。この場合、Cが営業所記号、Wが購入年度記号、293が通し番号になる。
使用しているアルファベットは、数字や他のアルファベットと間違える可能性のあるI, O, Q, J, Uの文字を除いた21文字が使われている。I, Oは数字と間違えやすいこと、Jは発音がAと似てまぎらわしいこと、またQは「書きにくい」という理由で外された。かつては、局番は職人が独特な穂先の筆で記していたためである。
現在の局番の方式は、車輌管理の電算化を目的として昭和41年3月に制定された。それ以前は、ナンバープレートの番号をそのまま局番にしていた。例えば、大塚所属でナンバーが「練2い914(昭和38年)」なら「G3い914」(3は練馬ナンバーの意味)、小滝橋所属でナンバーが「2こ1031(昭和35年)」なら「Eこ1031」という具合である。さらに、昭和26年以前の5桁ナンバーの時代は、下3桁を局番とした。例えば、新谷町所属でナンバーが「95837(昭和25年)」なら「K837」となる。

営業所の文字

上述の通り、営業所記号は少なくとも昭和23年度から使用されている。その当時に存在した営業所について品川(A)から反時計回りに江東(L)まで割り当てた。その後に作られた営業所は順番に割り当てておらず、可能な限り語呂を優先しているようにも見える。

  • 滝野川(昭和24年)…N (North?)
  • 東荒川(昭和24年)…R (aRakawa River?)
  • 目黒(昭和30年)…M (Meguroの頭文字?)
  • 戸山(昭和43年)…T (Toyamaの頭文字?)
  • 巣鴨(昭和43年)…P
  • 今井(昭和43年)…U

昭和24年に誕生した支所格の車庫(青梅、八王子、志村、青戸)はWから順番に割り当てていった。一番新しい割り当ては昭和47年の葛西(現江戸川)営業所のVである。
 なお、営業所が移転・改称した場合でも、文字はそのまま引き継がれる。また、分車庫は原則として営業所記号が割り当てられず、例えば昭和町分車庫の所属記号は滝野川のNの扱いだった。所属
 また、分駐所格に落ちると親営業所の文字に変更されたが、所属車輛は格下げ前と同じく親営業所とは完全に別建てとなっていた。実例としては、目黒・港南分駐所(M→A、平成15~17年)、新宿分駐所(C→B、平成18~21年)が挙げられる。

文字 現在の使用 過去の使用
A 品川営業所 目黒分駐所・港南分駐所(平成15~平成17年)
B 渋谷営業所
C 新宿支所
D 杉並支所(昭和41年~) 堀ノ内営業所(~昭和41年)
E 小滝橋営業所
F 練馬支所
G × 大塚営業所(~平成27年)
H 千住営業所
K 南千住営業所(昭和50年~) 新谷町営業所(~昭和50年)
L 江東営業所
M 目黒支所(昭和30~平成15年)
N 北営業所(昭和55年~) 滝野川営業所
P 巣鴨営業所(昭和43年~)
R 臨海支所(昭和62年~) 江戸川営業所(昭和35~62年)
東荒川営業所(~昭和35年)
S 深川営業所(昭和43年~) 洲崎営業所(~昭和43年)
T 早稲田営業所(昭和46年~) 戸山支所(昭和43~46年)
U 今井支所(昭和43~62年)
V 江戸川営業所(平成16年~) 葛西営業所(昭和47~平成16年)
W 青梅支所(昭和24年~)
X 八王子支所(昭和24~62年)
Y 港南支所(平成17年~) 志村営業所(昭和36~57年)
Z 青戸支所(昭和34年~)

購入年度記号

昭和41年3月に現在の番号体系になったときから使われ始めたものである。その当時で最も古かった昭和32年度車をAとし、以降年度が進むごとにアルファベットの文字を1つ進めるようにした。ただし、昭和40年代は都電代替バスの運行で大量の新車が必要となり、1つの年度に2つの記号が割り当てられたこともある。Zの次はAに戻り、循環するようになっている。ちなみに購入年度はその新車に割り当てられた予算年度なので、E代(平成10年度)の一部の車のように、平成11年度になってから配属されることもある。また、一般大型路線車は昭和48年度には導入がなく、翌49年度にA, B代がまとめて導入されたが、予算自体は昭和48年度がA代、49年度がB代と分かれていたようだ。
なお、番号制定当初は昭和30・31年度導入の退役ボンネットバスを改造した応急車が存在した。それらの車にも、それぞれYとZの年度記号が与えられていた。

1周目 2周目 3周目 4周目
A 昭32(1957) 昭48(1973) 平6(1994) 平27(2015)
B 昭33(1958) 昭48,49(1973,74) 平7(1995)
C 昭34(1959) 昭50(1975) 平8(1996)
D 昭35(1960) 昭51(1976) 平9(1997)
E 昭36(1961) 昭52(1977) 平10(1998)
F 昭37(1962) 昭53(1978) 平11(1999)
G 昭38(1963) 昭54(1979) 平12(2000)
H 昭39(1964) 昭55(1980) 平13(2001)
K 昭40(1965) 昭56(1981) 平14(2002)
L 昭57(1982) 平15(2003)
M 昭41(1966) 昭58(1983) 平16(2004)
N 昭42(1967) 昭59(1984) 平17(2005)
P 昭60(1985) 平18(2006)
R 昭43(1968) 昭61(1986) 平19(2007)
S 昭62(1987) 平20(2008)
T 昭44(1969) 昭63(1988) 平21(2009)
V 平元(1989) 平22(2010)
W 昭45(1970) 平2(1990) 平23(2011)
X 昭46(1971) 平3(1991) 平24(2012)
Y 平4(1992) 平25(2013)
Z 昭47(1972) 平5(1993) 平26(2014)

通し番号

 3桁の番号は通し番号で、百の位はその車の区分を示している。なお、下2桁が42・49のものは使われておらず、その前後の番号も使われないことが多い。年代で用途を示す番号が多少異なっているが、現在は次のようになっている。
001~048貸切車
050~099小型路線車
100~799中型路線車
800~899大型路線車

以下、変遷を簡単に記す。

1. 制定当初(昭和40年度~昭和47年度)

昭和39年度まではツーマン専用車を導入していたので、車輌運用上の違いも考慮してワンマンにも使える兼用車と番号を分けた。ワンマン専用車は番台こそ割り当てられたものの、導入は昭和47年度のハイブリッド電気バスまで存在せず、ほぼ400~699のみが使い続けられていた。
001~099 貸切車
100~399 一般路線車(ツーマン専用)
400~699 一般路線車(ワンマン/ツーマン兼用)
700~999 一般路線車(ワンマン専用)

2. 特定・ミニバスの開始(昭和48年度~昭和52年度)

養護学校への輸送などを目的とした特定バス事業は貸切転用車で賄っていたが、昭和48年10月1日に本格的にスタートし、900番台が割り当てられた。ただし、貸切からの転用車との番号を交ぜないためか、961番からスタートした。また、昭和49年2月にはミニバスで運行される[東01]が開通し、13輌でスタート。800番台が割り当てられた。
001~099 貸切車
100~399 一般路線車(ツーマン専用)
400~699 一般路線車(ワンマン/ツーマン兼用)
700~799 一般路線車(ワンマン専用)
800~899 路線車(ミニバス)
900~999 特定車

3. 一般路線車の拡張-1(昭和53年度~昭和56年度)

100~399も、ワンマン・ツーマンの枠になり、一般車が100からスタートするようになった。
001~099 貸切車
100~699 一般路線車(ワンマン/ツーマン兼用)
700~799 一般路線車(ワンマン専用)
800~899 路線車(ミニバス)
900~999 特定車

4. 一般路線車の拡張-2(昭和57年度~昭和58年度)

 700番台もワンマン・ツーマン兼用車に割り当てるようになり、100~799は全て大型車の枠となった。ちなみに本格的にワンマン専用車が導入されるのは、都営バス初の都市新バス[都01]用のM代車、一般車では昭和60年度のP代からである。
001~099 貸切車
100~799 大型一般路線車
800~899 路線車(ミニバス)
900~999 特定車

5. 中型車の登場(昭和59年度~昭和63年度)

 昭和58年にミニバスが廃止されて専用車も廃車となったが、昭和59年度から青梅・八王子支所に導入された中型車がここの枠に納まった。
001~099 貸切車
100~799 大型一般路線車
800~899 中型一般路線車
900~999 特定車

6. 貸切番台の多様化(平成元年度~平成12年度)

平成に入って深夜中距離・深夜急行といった中距離バスに参入、090台を専用に割り当てたが、現在は撤退している。その後は、貸切事業の縮小や特定運輸事業の撤退により、900番台は使われておらず、000番台も僅かな貸切車と江東区コミュニティバス「しおかぜ」専用車が残るのみとなっている。
001~089 貸切車
090~099 貸切車(深夜急行・長距離バス専用)
100~799 大型一般路線車
800~899 中型一般路線車
900~999 特定車

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