都営バス資料館

平成27年度決算で久々の系統別収支発表

交通局が平成28年10月に発表した27年度決算(速報)で、平成5年度以来発表していなかった系統別の収支をWebサイト上で発表した。情報公開の時代に応じて公開することを決めたもので、各系統の収入・支出・乗車人員・営業係数(100円を得るためにどれくらいの経費が必要か)が明らかになった。なお、受託系統扱いとなっている[急行06](森下駅~日本科学未来館)、[江東01](潮見駅~木場・辰巳循環)は対象外となっている。また、以前の公表時と同じく、青梅管内などの自治体の補助を得ている系統は補助前の収支となっている。
支出については全体の費用を各系統の運行に応じて按分しているため、営業係数については系統個別でなく全体にかかる固定費にも引きずられることに留意。
また、以前の発表であれば[品99][田99]など一体化していた系統はひとまとめになっているが、今回は[田92][浜95]、[飯64][上69]、[井92][直行01]など運用が共通でも系統番号の名義ごとに独立して値が出されている。その代わり、[都02乙](池袋駅東口~東京ドームシティ)[東42乙](南千住車庫~浅草雷門)など本線と全く別物の系統であっても、番号が同じであれば[都02](大塚駅~錦糸町駅)[東42甲](南千住車庫~東京駅八重洲口)といった本線にまとめられている模様。

まずは乗車人員・収支・営業係数の上位・下位について。

1日あたり乗車人員(単位:人)

上位
順位 系統 区間 所管 人員
1 王40 池袋駅東口~西新井駅 19,286
2 都02 大塚駅~錦糸町駅 巣鴨 18,997
3 都07 錦糸町駅~門前仲町 江東 18,742
4 東22 錦糸町駅~東京駅丸の内北口 江東 15,523
5 錦25 葛西駅~錦糸町駅 江戸川 15,453
6 都01 渋谷駅~新橋駅 渋谷 14,934
7 業10 新橋~とうきょうスカイツリー駅 深川 14,536
8 白61 練馬車庫~新宿駅西口 練馬 14,524
9 新小21 西葛西駅~新小岩駅 江戸川 13,648
10 草63 池袋駅東口~浅草寿町・雷門一丁目 巣鴨 13,067
11 都06 渋谷駅~新橋駅 渋谷 11,000
12 田87 渋谷駅~田町駅 渋谷 10,604
13 上58 早稲田~上野松坂屋 早稲田 10,554
14 海01 門前仲町~東京テレポート駅 深川・品川 10,527
15 錦13 錦糸町駅~晴海埠頭 深川 10,516
16 都08 日暮里駅~錦糸町駅 南千住 10,311
17 都05 晴海埠頭~東京駅丸の内南口 深川 9,470
18 東16 東京駅八重洲口~東京ビッグサイト 深川 9,213
19 東42 南千住車庫~東京駅八重洲口 南千住 8,732
20 王57 赤羽駅東口~豊島五丁目団地 8,499
下位
順位 系統 区間 所管 人員
1 田99 品川駅港南口~田町駅東口 港南 135
2 反94 五反田駅~赤羽橋駅 港南 146
3 飯62 小滝橋車庫~都営飯田橋駅 小滝橋 384
4 臨海22 臨海車庫~船堀駅 臨海 440
5 陽20 東陽町駅~東大島駅 江東 455
6 新小20 東新小岩四丁目~一之江駅 臨海 459
7 CH01 新宿駅西口~都庁循環 小滝橋 467
8 船28 船堀駅~篠崎駅 臨海 487
9 AL01 東大島駅~小松川二丁目循環 青戸 487
10 梅74 裏宿町~(成木循環)~裏宿町 青梅 608
11 西葛26 船堀駅~葛西臨海公園駅 臨海 674
12 井96 大井町駅東口~天王洲アイル 港南 760
13 浜95 品川車庫~東京タワー 港南 767
14 井98 大井町駅東口~大井水産物埠頭 港南 786
15 錦40 南千住駅東口~錦糸町駅 南千住 792
16 梅77 裏宿町~河辺駅北口 青梅 819
17 市01 新橋駅~築地中央市場 品川 861
18 RH01 渋谷駅~六本木ヒルズ 渋谷 863
19 FL01 葛西駅~錦糸町駅 江戸川 916
20 直行01 大井町駅東口~八潮パークタウン 品川 968

[王40][都02]がツートップとなった。[都02]は[都02乙]も合算していると思われるが、大江戸線開業がありながらもこの乗車人員を維持しているのは並大抵ではないだろう。3・4・5位は錦糸町駅を発着する系統が並び、昔と変わらず大幹線であることが分かる。[錦25]は平成初期よりも乗客が増えているのが特徴的。
平成5年のランキングが[都02](32,548人)、[都01](30,498人)、[王40](29,563人)となっており、2万人越えの系統が7、1万人越え2万人までの系統が25あったことを考えると乗客減が各系統ともに目立つ。[都01]はその後の溜池山王駅の開業と南北線の延伸、大江戸線の開業で影響を受けたこともあったのだろうが、渋谷駅側の集客で乗客数を維持している感じだ。
かつてのランキングと比べると[上58][草63]が上位に入っているのが目を引く。それ以外は渋谷・北・江東・江戸川・深川でTOP20のうち14を占めており、特定の営業所に偏っていることが分かる。

下位はそもそも限定的にしか運転していない系統([直行01][AL01]など)や出入庫専用系統([臨海22]など)があるが、際立って少ない[田99][反94]は本数も少なく、乗車密度もかなり少ないのだろう。はと委託が全体的に多いが、それ以外では[CH01]も京王との共管とはいえ、昔に比べると少なくなっているのが気がかりなところだ。[市01]も5千人前後が乗っていた平成初期までの時代と比べると大江戸線の影響もあって激減しているが、豊洲市場移転後はどうなるだろうか。

年間収支(収入-支出)(単位:千円)

上位
順位 系統 区間 所管 収支
1 東22 錦糸町駅~東京駅丸の内北口 江東 235,514
2 新小21 西葛西駅~新小岩駅 江戸川 212,846
3 品99 品川駅港南口~品川埠頭循環 品川 208,318
4 都07 錦糸町駅~門前仲町 江東 207,319
5 上58 早稲田~上野松坂屋 早稲田 154,114
6 錦25 葛西駅~錦糸町駅 江戸川 148,901
7 田87 渋谷駅~田町駅 渋谷 136,917
8 白61 練馬車庫~新宿駅西口 練馬 132,019
9 草63 池袋駅東口~浅草寿町・雷門一丁目 巣鴨 110,668
10 都01 渋谷駅~新橋駅 渋谷 110,375
11 北47 足立清掃工場~北千住駅 千住 106,721
12 東16 東京駅八重洲口~東京ビッグサイト 深川 103,146
13 都02 大塚駅~錦糸町駅 巣鴨 98,057
14 錦28 東大島駅~錦糸町駅 江戸川 93,393
15 業10 新橋~とうきょうスカイツリー駅 深川 60,265
16 都06 渋谷駅~新橋駅 渋谷 59,031
17 王57 赤羽駅東口~豊島五丁目団地 58,709
18 新小22 葛西駅~新小岩駅 江戸川 53,049
19 上69 小滝橋車庫~上野公園 小滝橋 45,250
20 池65 練馬車庫~池袋駅東口 練馬 44,276
下位
順位 系統 区間 所管 収支
1 梅70 青梅車庫~花小金井駅北口 青梅 -215,447
2 里48 日暮里駅~見沼代親水公園駅 巣鴨・南千住・北 -124,918
3 東43 荒川土手操車所~東京駅丸の内北口 -99,454
4 王78 新宿駅西口~王子駅 杉並 -93,770
5 王49 千住車庫~王子駅 千住 -93,283
6 早81 早大正門~渋谷駅東口 新宿 -88,825
7 品97 品川駅高輪口~新宿駅西口 杉並・港南 -82,305
8 橋86 目黒駅~新橋駅 港南 -78,635
9 品98 品川駅港南口~大田市場 品川 -77,956
10 上26 亀戸駅~上野公園 青戸 -76,616
11 上23 平井駅~上野松坂屋 青戸 -75,571
12 平23 葛西駅~平井駅 臨海 -69,641
13 都03 晴海埠頭~四谷駅 港南 -65,807
14 宿75 新宿駅西口~三宅坂 新宿 -65,490
15 門21 東大島駅~門前仲町 臨海 -61,022
16 黒77 目黒駅~千駄ヶ谷駅 品川 -58,266
17 木11 木場駅~東陽町駅~新木場循環 深川 -58,238
18 王41 王子駅~新田一丁目 -58,000
19 錦37 青戸車庫~錦糸町駅 青戸 -55,754
20 草24 東大島駅~浅草寿町 臨海 -55,471

年間の収入-支出の差額をランキングにした。乗客数上位とは様相が変わり、[東22][新小21]が最上位に来ているほか、乗客数ではランク外だった[品99]が3位につけている。その他、[北47]・[業10]・[新小22]などもランキング入りしており、深川からは[業10]だけとなっているのが意外のところ。結果的に、乗客数上位よりも各地域に散らばっており、単純に城東優位というわけでもなくなっている。
下位は[梅70]がダントツ、[里48]がそれに続く。青梅は公共負担を前提としているため仕方ない面もあるだろう。[里48]も舎人ライナー代行を目的で3営業所共管にしているほどなので、ここは特別扱いという面もありそうだ。
[東43][王49]など、本数がそれなりにある系統で損失額が大きいのはやや気がかりなところ。いずれも今年の春の改正で減便となったため、今年度は収支改善が期待されるところだ。それ以外では距離が長く、乗客の回転率が悪そう(=平均乗車距離が長そう)な系統が並んでおり、均一系統では改善がなかなか難しい系統が並んでいる。

収支係数

上位
順位 系統 区間 所管 収支
1 品99 品川駅港南口~品川埠頭循環 品川 63
2 錦28 東大島駅~錦糸町駅 江戸川 72
3 直行01 大井町駅東口~八潮パークタウン 品川 72
4 新小21 西葛西駅~新小岩駅 江戸川 73
5 東22 錦糸町駅~東京駅丸の内北口 江東 75
6 上58 早稲田~上野松坂屋 早稲田 75
7 田87 渋谷駅~田町駅 渋谷 80
8 北47 足立清掃工場~北千住駅 千住 80
9 学06 恵比寿駅~日赤医療センター 渋谷 80
10 都07 錦糸町駅~門前仲町 江東 81
11 錦25 葛西駅~錦糸町駅 江戸川 83
12 東16 東京駅八重洲口~東京ビッグサイト 深川 84
13 白61 練馬車庫~新宿駅西口 練馬 86
14 草63 池袋駅東口~浅草寿町・雷門一丁目 巣鴨 86
15 池65 練馬車庫~池袋駅東口 練馬 87
16 王57 赤羽駅東口~豊島五丁目団地 88
17 上69 小滝橋車庫~上野公園 小滝橋 88
18 学02 高田馬場駅~早大正門 小滝橋 88
19 葛西21 葛西駅~葛西臨海公園駅 江戸川 88
20 新小22 葛西駅~新小岩駅 江戸川 89
下位
順位 系統 区間 所管 収支
1 里48 日暮里駅~見沼代親水公園駅 巣鴨・南千住・北 272
2 田99 品川駅港南口~田町駅東口 港南 260
3 反94 五反田駅~赤羽橋駅 港南 226
4 梅70 青梅車庫~花小金井駅北口 青梅 219
5 梅74 裏宿町~(成木循環)~裏宿町 青梅 216
6 船28 船堀駅~篠崎駅 臨海 201
7 市01 新橋駅~築地中央市場 品川 199
8 早81 早大正門~渋谷駅東口 新宿 198
9 梅77 裏宿町~河辺駅北口 青梅 188
10 AL01 東大島駅~小松川二丁目循環 臨海 178
11 陽20 東陽町駅~東大島駅 江東 178
12 西葛26 船堀駅~葛西臨海公園駅 臨海 177
13 浜95 品川車庫~東京タワー 港南 174
14 葛西22 葛西駅~一之江駅 臨海 174
15 都03 晴海埠頭~四谷駅 港南 173
16 上26 亀戸駅~上野公園 青戸 169
17 宿75 新宿駅西口~三宅坂 新宿 167
18 橋86 目黒駅~新橋駅 港南 166
19 臨海22 臨海車庫~船堀駅 臨海 165
20 新小20 東新小岩四丁目~一之江駅 臨海 159

収支係数は収支額の上位とも異なり、乗客が中程度でも大幅な収入を挙げているほうが成績が良くなる。[品99]の飛び抜けた1位は優秀と言える。入管による現金客比率の高さ、乗車距離の短さ、日中も双方向に需要があるなどの効率が良い条件が揃っているということだろう。[錦28]もかつての赤字系統の面影がないほどの数字で、両端からの乗客があるなど係数が上向く条件が揃っている。これら上位の系統は特に今後の増便も期待できるだろう。[北47]が優良系統となっているのも昭和時代から見ると驚きだ。
下位は「乗客そこそこ、本数そこそこ」と「乗客極少、本数少」のいずれかに分類できる。収支下位に入らなかった[田99][反94][船28]などは後者のパターンだ。[都03][宿75][早81][浜95]など含め、最近は本数に手をつけてない系統も入っているが、今後どういう方向性になるだろうか。

収支と乗客数の関係

161031_2
161031_3
収支(x)と乗客数(y)をプロットしてみた図、収支係数と年間収支(赤字のみ)で分類した表を示す。右上に行くほど屋台骨の系統になる。草63と上58の躍進が昔の公開してたときの記憶に比べると目立つ。はと委託(赤)は左下に固まっている。後は、どれくらい左下ゾーンの効率化(=減便短縮廃止)が求められるかだろう。[墨38](両国駅~リハビリ病院)・[新江62](新江古田駅~大泉学園駅)・[反90](五反田駅~三田駅)などを整理した後は小康状態になっているが。
また、黒字に比べて赤字額の幅は狭く、極端な赤字垂れ流しは少ないことが分かる。(青梅系統は赤字の公共負担があるから実質的な赤字ではなくなる)
年間収支については、青は全体の費用変動で黒字化する可能性も普通にあってテコ入れする割合が多そう、黄色は現状維持か縮小均衡か。薄赤は乗客小ジリ貧、濃赤は次に手をつける候補になりうる群となりそうだ。

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