都営バス資料館

運賃箱(料金収納機)

運転席の脇に備えられている運賃箱。バスのワンマン運転には欠かせない機器の一つだが、昭和40年代に設置を始めてからおおむね10年サイクルで更新されている。その変化を写真で追ってみよう。

初代・2代目

 昭和40年代初頭より進んだワンマン化に伴い車掌がいなくなり、乗客の運賃の収受は運転士の仕事となった。しかし車輌の運転に加えて金銭のやり取りをするのは一苦労で、負担軽減のために昭和43年に料金収納機(運賃箱)が運転席の脇につけられるようになった。当初は100円までの運賃に対応していたが、両替は別のレバー操作の筒状つり銭専用機で出していた。
▲初代料金収納機 「都営バス70年史」より

 石油ショック後のインフレと経営安定化のための運賃改定のペースは早く、昭和53年10月には大人運賃が110円となるため、500円分まで自動つり銭で対応可能なものに機種が交換された。この当時から、ちょうどの金額であれば運賃箱に投入し、そうでないときはお金を釣銭口に投入すると、運賃が引き算されて受け皿に釣銭が出てくるというシステムになった。その後、昭和57年に500円硬貨が発行されたことにより、500円硬貨にも対応可能なように改修がなされた。
 なお、下右写真は昭和59年の青梅の車だが、23区内の交換後も古いものをそのまま使っていたようだ。

▲昭和60年頃 [o]

▲昭和54年 [真]

▲昭和59年 青梅[n]

3代目

昭和61年度から63年度にかけて順次1,000円紙幣にも対応した3代目の運賃箱に更改された。営業所により、23区内はNEC・小田原製の2種類に分かれていた。どの営業所がどのメーカーだったかはこちらを参照。青梅のみ三陽電機製を用いていた。
平成4年10月~平成5年8月にかけて磁気カードに対応すべく順次改造を行った。NEC製は手前から奥に、小田原製は左から挿し込んで右へとカードが流れるようにリーダーが設置されている。磁気カードは"Tカード"の名で平成5年11月からサービス開始し、平成6年10月からは都内・神奈川県内の事業者共通で使用できるバス共通カードへと進化した。対応車には緑色の「バス共通カード取扱車」のステッカーが前面・側面に貼られるようになった。
▲NEC・小田原製の磁気カード対応(都バス70年史より)

▲NEC製 ▲小田原製(二階建てバス)
▲取り外された運賃箱

▲共通カードステッカー

平成10年からは、車内で10,000円の定額定期券や一日乗車券が購入できるように、巣鴨で先行して感熱式のプリンターが外付けで追加された。平成11年度末までには全営業所に対応している。
▲前面に貼られたステッカー2種

巣鴨の対応車は緑色の共通カードステッカーに代えて「定額定期券車内取扱車」の青色のステッカーが貼られた。それ以外の車庫では緑色に加えて青色の小型サイズを前面・側面に貼っていたが、実際は対応していても車によって貼り方はまちまちだった。
巣鴨車の表示だと「バス共通カードに対応しているか分かりづらい」という声もあったため、H代が登場した平成13年末頃からは各車庫とも前面は緑色小型ステッカー+車によって側面ステッカー貼付に統一されている。
▲巣鴨の定額定期券ステッカー貼付車[塩]
▲感熱紙タイプの車内発券した一日券

4代目

  
平成13年より順次の4代目に更改された。小田原製の特別仕様品(型番LT-1950E)に統一され、硬貨の自動計数機能も本格的に対応し、つり銭が必要な場合も関係なく投入口にお金を入れるだけで判別して必要に応じてお釣りが返るシステムになった。1円・5円玉にも対応したのもポイント。運賃表示がプラスチック札ではなく、7セグで系統に応じて自動表示できるようになっている。
磁気カードユニットは本体に内蔵され、手前から挿し込むようになって使いやすくなった。一日券・定額定期券は前世代と同様運転席側に外付けされている。

▲4代目運賃箱[塩] ▲ICユニット取付後

▲運転席側操作部分 この下に感熱紙一日券を入れる口が用意されている

平成19年にはICカード「PASMO」に対応し、ICカードの読み取りユニットを上面に取り付け、5桁の運賃表示部分を見やすいカラー液晶に切り替えた。これに伴い、外に貼るステッカーもピンク色の「PASMO」に交換されている。なお、平成22年夏には側面のステッカーは「バス特」バージョンに切り替えられた。

▲PASMO対応日 ▲PASMO初代ステッカー
▲バス特ステッカー

平成20年から運行を開始した「夢の下町バス」は、運賃箱は同一だが塗装が黒色ベースの専用のものとなった。
▲夢の下町用運賃箱

5代目

平成25年11月から平成26年8月にかけて、5代目の運賃箱に更改された。レシップ製の既存製品をベースにた都営向けのカスタマイズモデルで、型番はLF-B-MC0033-TS。小田原製に搭載されていた機能については一通り継承されている。
既存品の丸みのある印象とは異なり、直線で構成されたデザインとなっている。外見色は小田原製が都営バスのイメージカラーである緑色だったのに対し、レシップ製標準のホワイトと青みがかった濃いグレーのツートンカラーに、バスと東京らしい沿線風景が印刷されたステッカーを貼っている。側面の運賃表示がかなり側面に寄ってしまったのが残念。
運転席側には操作パネルが設置されており、右側にはタッチパネル液晶と左側にボタンが配置されている。各種操作はこのボタンとタッチパネルスクリーンの二種類を操作することになる。
液晶画面は運賃箱がスリープ状態の場合は時計が表示されているが、運賃箱動作時は画面が切り替わり業務メニュー画面が表示される。
 
▲運賃箱上部

大きな特徴は磁気券の一日券・定額定期券発行機能を内蔵していることである。車内発行でも自動改札が通れるようになった。
磁気カードは定額定期券用と一日乗車券用の2種が用意され、500円の都営バス一日券/700円の「まるごときっぷ」は裏面の印刷を変えることで対応した。同業他社でも鉄道の改札用磁気エンコード書込モジュールは存在するが、カードが運賃箱にセットされており自動的に発券する仕組みはなかなかないだあろう。
磁気券は機械の「カード出入口」から出てくるが、この券を乗車の際に入れる必要はなく、見せるだけで良い。今のところ「カード出入口」に入れるカードは存在しない。特徴としては購入した営業所・バスの局番(数字のみ)が入る。

140809b_1 ▲新型運賃箱 140809b_2 ▲一日乗車券、定額定期券類

140809b_3 ▲機能概要[北]

おまけ

これ以外では、路線車以外に取り付けられた運賃箱としては、深夜急行・中距離用のものがある。高額運賃に対応して1万円札まで対応し、発券機能も備えていた。(写真捜索中)

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