都営バス資料館

低床-リフト付超低床バス

平成3年度(X代)から平成7年度(B代)まで5年間にわたって導入された低床バスである。他社でいうワンステップに相当する。
平成2年8月に各社にリフト付きバスの開発可能性の照会を行い、平成3年度に障害者の社会への参加の実現の一環として、自力で車いす利用者がバスに乗車できるバスとしてスロープつきではなく、リフト付きの車を導入することとした。
車輛の設計にあたっては、中扉にリフトをつけ、リフトの昇降操作は乗客の安全確保のため中扉近くで直接操作すること、車いすを2台乗車できるスペースを設けるため、車内中央の2か所を電動跳ね上げ式の座席(横向き座席)とすること、車いす固定用具を新たに開発することとした。
前年度のW代の都市型超低床バスをベースに、後扉を省略して座席配置を全般的に見直したケースが多い。ただし、高コストな車となったことは間違いないようで、1年につき10輛程度の導入に留まった。

リフト昇降の際は、中扉を開けて運転席側のリフト作動スイッチをONにした後、リフト本体脇のコントローラーで操作を行う。
車椅子客が乗車の際は、一旦リフトを下まで降ろして地面に接着してから車椅子を動かしてリフトの上に載せ、そのままリフトを床面まで上昇させる。
座席を跳ね上げて車椅子を車内に格納したら、リフトを元のステップの高さまで降ろして一連の動作が終了となる。
この乗り降りの動作だけで1分以上かかることや、リフトを中途半端な位置にしたまま中扉を閉めたり走ったりしてリフトが壊れるケースも多く、なかなか目論見通りにはうまく行かなかったようだ。

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▲座席跳ね上げ前後 [塩]

▲リフト昇降動作 [塩]

X代(平成3年度)

平成4年3月に、初代リフト付超低床車として各メーカー2輛ずつ8輛が導入され、[C・H01](新宿駅西口~都庁循環、新宿)、[宿74](新宿駅西口~東京女子医大、新宿)、[池86](東池袋四丁目~渋谷駅東口、早稲田)、[端44](駒込病院~北千住駅、千住)にて運行を開始した。
価格の高さもあって、1輛あたり1,000万円の補助を受けての導入となっている。
日野車はメーカー配置の統一とともに平成7年3月に杉並に転出し、以降はグリーンアローズ([都03][都05])用としてヘッドマークをつけ、末期は系統移管とともに深川に転属した。
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▲C-X591[塩] car_164
▲N-X592[き] 北転属後の末期は行灯が埋められた
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▲C-X594[き] x_h06
▲D-X594[塩] x_m17
▲T-X595
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▲N-X598[塩]

Y代(平成4年度)

全般的に車内の座席配置の見直しが行われている。
いすゞ…(ULV870L改)が巣鴨に3輌導入された。X代からの大きな変更はない。当初は[草64](池袋駅東口~王子駅~浅草寿町)専属だったものの、リフト車とノンステップ車のダイヤに区別がなくなった末期は活躍の場が広がった。
日野…(HU2ML)が品川に1輌導入され、[品91](品川駅東口~八潮パークタウン~大井町駅東口)用となった。
三菱…(U-MP628M改)が早稲田に4輌導入された。X代に続き[池86]に投入された。窓サイズの拡大が行われた。
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▲P-Y791
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▲P-Y792[ア] y_h01 のコピー
▲A-Y794[き] y_m04
▲T-Y798[塩] y_m09
▲T-Y798[ア]

Z代いすゞリフト車内 Y代日野_リフト車内

▲Y代日野、Z代いすゞの車内(北)

Z代(平成5年度)

いすゞ…(U-LV870L)が臨海に3輌導入された。主に[新小21]で働くようになり、ノンステップ導入以降は[新小22]などに活躍の場を移した。
日野…(HU2ML)が目黒に3輛導入された。[都06]の増車用として、Y代仕様にヘッドマークを取り付けた仕様となった。なお、車内仕様は一般リフト車と同様である。平成12年にはZ371がみんくるバスとしてラッピングされ、渋谷転属後も除籍までこの姿となった。→みんくるバスも参照
三菱…(U-MP628M 改)が3輌南千住に導入された。都市新バスのヘッドマークが付いた程度で、目立った変更点はない。
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▲R-Z368[塩] z_h24
z_h06
▲M-Z373[塩] z_m18
▲K-Z374[塩]

A代(平成6年度)

いすゞ…(U-LV870L改)が新宿・深川に4輌導入された。特に変更点はない。A582は平成12年よりみんくるバスのラッピングとなった。
日野…(HU2ML)が杉並に2輛導入された。主に[都03](新宿駅西口~晴海埠頭)で運用され、平成12年の大江戸線改編時に深川に移籍した。
三菱…(U-MP628M)が早稲田・千住に計3輌導入された。早稲田の車は長らくラッピングが続き、原色塗装を見る機会のほうが少なかった。
日デ…(UA440KAN)は北に1輌導入され、主に[東43](東京駅北口~荒川土手)で運用された。ホイールベースは従来と異なる4,800mmで製造したために型式が新たに設定された。全国でほぼ唯一の存在だろう。
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▲C-A581[き] 008_04 のコピー
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▲D-A585[塩] 009_08 のコピー
▲T-A588[塩] 013_01
▲N-A590
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▲N-A590[き]

いすゞA代リフト_深川
▲いすゞA代車内[北]

B代(平成7年度)

従来の車をKC-規制に対応させたモデルがそれぞれ導入された。リフト付きの仕様も下火になったのか、全国でもこの型式の導入例は少ないと思われる。この年を最後にリフトつき新低床(らくらくステップ)車へと移行した。
いすゞ…(KC-LV880L改)が小滝橋に3輌導入された。アイドリングストップが搭載されている。
日野…(KC-HU2MLCS)が葛西に3輌導入された。都市新バス「グリーンスター」の増車扱いとして導入された。A代と比べるとステップ高さがさらに低くなっている。D代のノンステップ導入とともに[都07]から撤退し、一般路線に転用された。B750はみんくるバスとなった。
三菱…(KC-MP627M)が南千住に3輌導入された。アイドリングストップが搭載されているほか、他の一般車と異なり呉羽系ボディのデザインのままとなった。B748はみんくるバスとなった。
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▲E-B744
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▲E-B745[ア] bh_08
▲V-B753[塩] bh_09 のコピー
▲V-B751[タ] bm_05
▲K-B747[ア] bm_06 のコピー
▲K-B746[き]

三菱B代リフト_南千住 日野B代リフト_V葛西

▲B代三菱(左)・日野(右)の車内[北]

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▲X代のリフト付超低床バス登場時のパンフレット(交通局)


▲透視図(都営バス70年史より)

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