五反田駅を発着する路線は3系統あるが、このうち品川方面に向かう[反96](五反田駅~六本木ヒルズ)は、JRの出入口すぐのところにある五反田駅4番乗り場を発車した後、Uターンするようにロータリーを回り、出てすぐのところでまた停留所に停まる(図の2番乗り場)。直線距離にしてわずか100m程度であるが、こちらの停留所名はかつて「五反田駅前」で。それぞれ独立した停留所になっているものの、昔ながらの駅前のバス乗り場案内図には通し番号の乗り場番号つきで両方載っていた。望むならばこの区間だけ乗ることも可能だが、まあ普通はしないだろう。それはともかく、この2回停車にはちょっとした経緯があったりする。今回はそれを紐解いてみよう。
そもそも、五反田駅の乗り場番号で現在生き残っているのは2,4,5,6番のみ。では1番はどこにあったのかというと、2番の向かいに存在した。1・2番乗り場は、五反田駅を貫通して東京駅へと向かう東急との共同運行系統、[100](東京駅南口~丸子橋、のち[東90])が使用していた。
系統 | 行き先 | 経由 | 運行 | |
1 | 東90 | 丸子橋 | 洗足池・雪ヶ谷 | 都営・東急 |
2 | 東90 | 東京駅南口 | 品川駅・新橋駅 | 都営・東急 |
5 | 東96 | 東京駅八重洲口 | 高輪警察署・田町駅・芝園橋・新橋駅 | 都営 |
橋99 | 新橋駅 | 一ノ橋・芝園橋 | 都営 | |
6 | 反01 | 川崎駅 | 馬込駅・多摩川大橋・遠藤町 | 東急 |
反02 | 鶴見駅 | 馬込駅・多摩川大橋・国道尻手 | 東急 |
[東90]は長大路線だったこともあり、路線再編成に引っかかり昭和54年11月に分断された。東京側は都営で[東90](東京駅八重洲口~五反田駅)、丸子橋側は東急で[品90](品川駅~丸子橋)・[反10](五反田駅~丸子橋)のように途中が重複する形で分割された。このとき、都営としては1・2番乗り場は停まらないことになり、同じ品川駅方面でありながら、都営は駅前発、東急は五反田とうきゅうの向かい発と分かれていた。丸子橋ゆきも、朝夕のみの始発[反10]と本線[品90]では分かれていたことになる。
(昭和55年)
系統 | 行き先 | 経由 | 運行 | |
1 | 品90 | 丸子橋 | 洗足池・雪ヶ谷 | 東急 |
2 | 品90 | 品川駅 | 御殿山 | 東急 |
4 | 反10 | 丸子橋 | 洗足池・雪ヶ谷 | 東急 |
東90 | 東京駅八重洲口 | 品川駅・新橋駅 | 都営 | |
5 | 東96 | 東京駅八重洲口 | 高輪警察署・田町駅・芝園橋・新橋駅 | 都営 |
6 | 反01 | 川崎駅 | 馬込駅・多摩川大橋・遠藤町 | 東急 |
反02 | 鶴見駅 | 馬込駅・多摩川大橋・国道尻手 | 東急 |
その後、東急池上線と並行する東急[品90]はダイヤ改正のたびに減便を繰り返し、平成元年4月には路線ごと廃止されてしまう。このとき、1・2番乗り場は一旦停まる系統がなくなり、五反田駅前の乗り場はコンパクトになった。
(平成元年)
系統 | 行き先 | 経由 | 運行 | |
4 | 東90 | 東京駅八重洲口 | 品川駅・新橋駅 | 都営 |
5 | 反96 | 一ノ橋(循環) | 田町駅・芝園橋・一ノ橋・魚籃坂下 | 都営 |
6 | 反01 | 川崎駅 | 馬込駅・多摩川大橋・遠藤町 | 東急 |
反02 | 池上警察署(深夜) | 馬込駅 | 東急 |
その状況が変化するのが平成3年4月頃のことだ。平成2年6月に[東90]が大幅に短縮されて[反90甲](五反田駅~品川駅)という路線へと変化するが、その1年後に「五反田駅前」という停留所が増設される。その場所は、2番乗り場の場所とほとんど同じであった。ある意味停留所の復活とも言えるだろう。周辺の利用客からの要望もあったのかもしれない。しかしながら、とうきゅう前の1番乗り場については復活せず、片方向のみ停車の停留所となった。それから14年、改編を重ねて系統番号も変更されたが、現在でもこの2回停車を継続している。思ったよりも「五反田駅前」停留所でも乗車があり、利用客には使い分けられているようだ。
(平成5年)
系統 | 行き先 | 経由 | 運行 | |
2 | 反90甲 | 品川駅 | 御殿山 | 都営 |
4 | 反90甲 | 品川駅 | 御殿山 | 都営 |
5 | 反90乙 | 田町駅 | 高輪警察署 | 都営 |
反96 | 新橋駅 | 一ノ橋・赤坂アークヒルズ | 都営 | |
6 | 反01 | 川崎駅 | 馬込駅・多摩川大橋・遠藤町 | 東急 |
反02 | 池上警察署(深夜) | 馬込駅 | 東急 |
ちなみに、[反90甲]にはもう一つ「二回停車」があった。終点品川駅の降車のときに、ウィング高輪近くの[品93](目黒駅~大井競馬場)の目黒駅ゆき乗り場で降車扱いをした後、ホテルパシフィック東京前の離れのターミナルでもう一度下ろすというものである。手前の[品93]乗り場はJR・京急のアクセスが横断歩道を渡るだけの楽なものだったため、アクセスのしやすさも考えられたのだろう。この取り扱いは現在も続けられ、[反96]の五反田駅~品川駅の区間運転便は品川駅終点で2回停車を行っている。
ちなみに、ここで全く触れてこなかった3番乗り場だが、現在のターミナルの向かい、モスバーガー前の降車ポールが立っているあたりに存在した。五反田駅を貫通して第二京浜方面に向かう[122](東京駅八重洲口~多摩川大橋、後の[東96])系統が使っていた。東急単独で運転していた東京駅八重洲口~五反田駅~(第二京浜)~横浜駅もここを使っていたのではないかと思われる。
しかしながら、昭和46年の路線短縮により、以来35年3番乗り場は欠番となっている。4番も昭和54年以前は欠番だったが、こちらは確証はないものの、昭和46年頃に短縮された東急の五反田駅~中原街道~綱島駅の路線が使っていたと思われる。
なお、平成24年4月より「五反田駅前」は「東五反田一丁目」に改称となり、正式に別名の停留所となった。
(平成27年4月現在)
系統 | 行き先 | 経由 | 運行 | |
2 | 反96 | 六本木ヒルズ | 品川駅・麻布十番駅・六本木駅 | 都営 |
4 | 反96 | 六本木ヒルズ | 品川駅・麻布十番駅・六本木駅 | 都営 |
5 | 反94 | 赤羽橋駅 | 高輪台駅・麻布十番駅 | 都営 |
6 | 反01 | 川崎駅 | 馬込駅・多摩川大橋・遠藤町 | 東急 |
反02 | 池上警察署(深夜) | 馬込駅 | 東急 |