都営バス資料館

経営計画2019が発表、フルフラット・燃料電池の拡大、ハイブリッドバス、営業黒字への見通し

 平成31(2019)年1月25日に、東京都交通局が経営計画2019を発表した。通常は3年ごとに発表している中期計画だが、今回は平成28(2016)~平成33(2022)年度の後半分として後期3年間を詳細化した計画となった。ベースとなる2016経営計画の記事はこちらを参照。 .
東京2020オリンピック大会と近年の乗客増をもとに、比較的積極的な文面が並ぶ。2025年度とまだ先とはいえ、60年以上達成していない営業黒字を目標としているのは大きな出来事と言えるだろう。大まかな都営バス関連の内容としては、臨海地域の発展に伴う営業所・路線の拡充、オリンピック運営協力のほか、案内の向上といった大枠は変化がないが、「新たなバスモデル」のように前期の経営計画の記述から後退したものもある。ここでは、都営バスに関連する内容の詳細を紹介する。以下、図版は全て経営計画の公表資料から。
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まず、今回の経営計画で新たに盛り込まれた都営バス関連の注目ポイントは以下の通りとなる。
・教習兼用車の導入
・フルフラットは改良検討、導入拡大
・燃料電池は'21年度までに最大80輛
・英字も用いた系統番号を試験導入
・ハイブリッド導入を進める
・AIを用いた到着予測の進化
・新宿支所周辺再開発の土地利活用

現状と課題

・都営バスの一日あたりの乗客数は63万人(平成29(2017)年度)となっており、増加傾向にある。これを踏まえて需要の変化に的確に対応する必要あり。
・およそ6割の路線が赤字で、車両更新により経常損益は当面赤字を見込むが、一層の経営改善が必要。
・高年層の大量退職の時期を迎えつつあり、全国的に大型二種免許取得者数が少なくなる中、乗務員の確保が困難に。
・高齢者や外国人の利用者増加をふまえ、誰もが利用しやすい都営バスを実現

収支の見通し

車両更新や増備に伴い、計画期間中は経常損益は赤字で推移するものの、乗車料終了の増加、構成年齢の変化による人件費の低減とともに2024年度に営業黒字に転じる見通しとなっている。
▲財政収支計画(~2028年度)

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安全対策の強化

全車両に設置しているドライブレコーダーや運転訓練車の一層の活用とともに、教習兼用車の導入が示された。営業車に教習用の補助ブレーキを追加したもので、新車に取れ付けるのか、既存車を改造するのかは興味深いところだ。
また、左折時警報装置や障害物検知のソナーセンサー導入など、車両の装備を改善することで安全性を向上する。図には熱線式サイドミラーも描かれており、これらの装備を持つ車輛を既存の車にも拡大するということかもしれない。
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▲教習専用車(五) 兼用車はこれとは異なった形になりそうだ

輸送力の増強

バス路線の拡充によるダイヤの見直しを実施とある。相変わらず具体的なことは有明地区に営業所を新設以外の記載がないが、規模拡大の方向なのは間違いないだろう。有明営業所は平成31(2019)年度に予定通り整備完了・開設予定となっている。
(参考):有明営業所(仮)の続報

バス停留所の快適性向上

上屋やベンチの整備、バス接近表示装置の拡大が前期に引き続き数値目標つきで書かれている。また、発車案内を表示するデジタルサイネージもターミナルへの設置を引き続き拡大する模様だ。
また、広告事業の積極的展開として、広告付バス停留所上屋は、民間事業者とも連携して順次設置を拡大する模様だ。

新たなバスモデルの展開・案内の充実

「誰もが利用しやすいバス」として都営バスが構築し、全国へと発信する「新たなバスモデル」。前期の経営計画では平成29年度に試験実施となっていたが、個別の施策はそれぞれ実施されつつあるものの、「新たなバスモデル」としてのパッケージ化はまだという状況だ。
今回の経営計画ではフルフラットバスの拡充、充実した案内は前期から引き続き継続したほか、フルカラーLEDは「案内の充実の」の項で書かれたが、従来とは異なる専用デザインの文言は削除された。また、自動走行制御システムは「関係機関等と連携しながら検討」とやや後退した書き方となった。

▲フルフラットバス関連(五)
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主な内容として、フルフラットバスは「今後検証・改良を進め、導入を拡大」、デジタルサイネージ等により駅からバス車内まで連続した情報案内、また国のガイドラインを踏まえた「アルファベットも用いた系統ナンバリングを試行導入」となっている。
フルフラットバスは今年度に限らず引き続き導入する模様だが、どの程度改良を進めるのか、またスカニアを採用し続けるのかは不明。系統番号はアルファベット「も」となっていることから、漢字併記を想定しているのだろうか。
参考:都営バス構想2020 .
前期の経営計画とは異なり、具体的な導入スケジュールについては触れられていない。
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案内の充実に関しては、バス運行管理システム用車載器の更新にあわせて、通信と位置測位方式を変更+AIを活用してより精度の高い到着時刻予測の情報を提供、オープンデータの提供、運行情報などを提供する都営交通公式アプリを平成31(2019)年度中に提供といったところが目新しい。

文化施策との連携強化

交通局の歴史資料活用については、「資料を適切に整理・保存するとともに、地元区等とも連携してイベント時に展示」と書かれるに留まった。常設的な展示施設はハードルが高いのだろう。

水素社会への実現への貢献

水素ステーションの整備状況に合わせ、東京2020大会までに最大70輛、2021年度までに最大80輛の導入を目指すとされ、前期から特に数の変更はない。ただし、年度ごとの導入予定数は書かれていない。
バス用の水素ステーションは「整備促進に向けて、関係機関に働きかけ」るとなっており、自前でステーションを持つ記載は特にない。

省エネの推進・環境負荷の低減

バス停上屋などのLED化や太陽光パネルの設置が書かれている。既にソーラー停留所は実現しており、引き続き拡大していくのだろう。
(参考)充電つきソーラー停留所、新木場駅・葛西臨海公園駅に設置か また、環境負荷の低減として、新車は最新の排出ガス規制に適合したノンステップバスを引き続き導入するほか、「更なる環境負荷の低減に向け、ハイブリッドバスの導入を進めます。」と明記された。検討という表現より一段階上で、導入はほぼ確定的なのだろう。平成24(2012)年度以来、都営バスではハイブリッド車が導入されていないが、久々の登場となりそうだ。
▲最後に都営バスに導入されたエルガハイブリッド(現在はモデルチェンジ済) (Yoshitaka)

情報発信

車内液晶モニターを平成31(2019)年度に200基、平成32(2020)年度に300基設置とある。まだ今年度分の追加設置が見られないことから、年度末にかけて急速に取り付けが進みそうだ。

土地の利活用

大塚支所跡地は保育所等の整備を条件として土地を貸し付けることで子育て支援に貢献、また新宿支所は周辺の土地を含めた再開発により2028年度以降に利活用開始予定となっている。新宿支所の敷地を含む西新宿三丁目西地区市街地再開発事業は計画から長らく動きがないままだったが、再開発準備組合が昨年に出した資料によれば新宿支所の敷地は含まれていない。今後どのように関わるのか注目だろう。

安定した人材の確保

必要なバス乗務員の確保として、職業としての魅力を積極的に発信するほか、養成型の選考を拡大するとなっている。現在は

また、グループ経営の推進として、「新たな業務の増加など状況変化に適切に対応するため、役割分担を絶えず見直し、関連団体をこれまで以上に積極的に活用することで、グループ総体として最大の経営効果を発揮するよう努めていきます」と記載された。はとバス委託に関連する記述はここだけだが、規模拡大分ははとバス委託の拡大も視野に入れているのかもしれない。

東京2020大会への取り組み

この部分については、都営バスは前期の記載から大きな変化はない。観客輸送への協力や燃料電池のアピール、案内の充実などが触れられている。湾岸地域に新設されるBRTとの連携などは特に記載がない。

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