都営バス資料館

経営計画2016が発表、新営業所、新たなバスサービスなど

2月12日に、東京都交通局が2016経営計画を発表した。通常は3年ごとに発表している中期計画だが、平成32(2020)年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて6年間(平成28~33年度)の計画となった。後半3年については概要のみで、平成31年度(2019年度)に前半の進捗を見据えて詳細が発表される。
臨海地域の発展と乗客増を見込んで都営バス関係では従来よりも積極的な文面が並び、代表的なトピックとしてはオリンピック運営協力のほか、新営業所の設置や新たなバスモデルの展開、乗継利便性の向上や乗務員の確保が挙げられる。ここでは、発表内容を中心に詳細を紹介する。以下、図版は全て経営計画の公表資料から。

★輸送需要やオリンピックへの対応
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▲大会期間中のバス停モデル
豊洲市場の開場(16年)や2020大会後の選手村などの輸送需要の増加に対応し、新たな営業所を開く。17年度に工事着手し、19年度に整備完了を目指す。有明地区が本命と考えられ、港南以来の新たな車庫となる。今までの経営計画にあったような路線の見直しといった文言はなく、収支計画でも「路線やダイヤの拡充に必要な乗務員の確保や車両の増備を先行して実施」とあることから、今後の増備に期待できそうだ。また、運行委託に関する文言もほぼ見られず、委託の拡大については特に計画がない模様である。
大会期間中のシャトルバス運行のほか、深夜も含めた輸送需要に的確に対応するため、期間中は都営バスのさらなる活躍が見込めそうだ。後述の車内モニターで競技結果を随時提供も行う見込み。また、バリアフリー情報の多言語提供とともに、車椅子のまま乗車可能なリフト付きの観光バスを導入する予定となっている。

★バス停留所の改善
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今までに引き続き、バス停の上屋の整備や広告つき大型バス停、接近表示装置を整備する。詳しい増備計画については上表を参照のこと。また、バスの運行情報が分かりやすいターミナル向けデジタルサイネージを他事業者と連携しつつ平成29年度より順次導入するほか、都営地下鉄の駅改札付近にも平成28年度から順次設置予定。

★新たなバスモデルの展開
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高齢者や訪日外国人にも分かりやすいバスとして、従来とは異なる専用デザイン・系統番号、カラーLED行先表示の導入、複数の車内液晶で多様な情報提供など新たなバスモデルを展開する。バス停前後の自動走行制御やフルフラットバスも検討するとのことで、21世紀の都市新バスと言える。平成29(2017)年度に試験実施、21年度までに5系統で展開予定。

★旅行者も使いやすい環境整備

前ページで記した新型液晶案内による4ヶ国語案内のほか、バス停の案内サインを平成30年度までに全て改修予定となっている。これについては別記事参照。また、一般車へのカラーLEDも順次導入と明記され、これからが楽しみなところだ。

★燃料電池バスの導入
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16年度に2台、順次拡大し21年度までに80輛導入が到達目標となっており、大会の頃には珍しい存在ではなくなっていそうだ。水素ステーションについても整備促進を図る。今まで触れられていた一般車の導入数については特に言及ないが、引き続き最新の排出ガス規制に適合したノンステップバスを導入とのこと。ハイブリッドバスは全く触れられていないことから、導入はあまり積極的ではなさそうな気配だ。

★バス車内モニターの設置
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昨年の一時期に深川営業所管内の車で試験していた広報用バス車内液晶モニターだが、16年度から1年100台のペースで設置し、大会までには全車の3割に設置する予定。オリンピックや観光・都政情報を主に流すようだ。

★土地の利活用

平成17年に閉鎖した目黒車庫跡地は再開発工事中だが、17年度には竣工・利活用開始となっており、不動産による安定収入の一助となる。昨年閉鎖した大塚車庫も平成29年度に公募、30年度から利活用開始となっている。

★人材育成

ベテラン乗務員の大量退職が続くこともあり、安定的な乗務員確保のため、応募年齢制限の緩和や養成型の選考を実施する。はとバスのような委託の文言は言及されず、委託の拡大は計画主に直営での募集が中心となりそうだ。

★その他

局が所蔵する歴史的資料の保存に努めるとともに、新たな資料の収集や都民等への公開について検討を進めるという文面が入った。東京都交通局は他都市のような資料館をほぼ持たないため、これについては期待したいところ。

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