都営バス資料館

幻の環七経由北車庫行き

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 都営バスにおいては、方向幕まで作っておきながら路線そのものが幻になってしまったという例は非常に少ない。もちろん途中折り返し等であれば念のため入れておくこともありえるが、独立した路線でそうなるというのはかなり珍しいことである。今回紹介するのは、その珍しい例となった出入庫、西新井駅~北車庫を紹介する。
 昭和55年4月、北区神谷の北本通り沿いに北車庫が開設された。従来の滝野川営業所と志村営業所を統合する目的で作られた営業所で、主に王子駅を発着する系統が所管となった。大幹線の[王40](池袋駅東口~西新井駅)も北営業所の担当となったのだが、その際に西新井側からの出入庫として考えられたのがこの図の路線である。出入を全て王子駅経由で行うとすると遠回りになることもあり、車庫との車輌の出入りを速達効果の大きい環七経由で行おうとしたものである。幕も専用のものが作られ、[王40]の系統番号表記があったようだ(下図参照)。
 しかし物事はうまくいかないもので、この路線の営業は流れてしまう。そもそもこの環七区間は都営バスの営業エリア外ということもあったのか、大人の事情で全て回送運転となってしまったのである。西新井駅~北区神谷町とほぼ全区間で国際興業の[赤27](赤羽駅東口~西新井警察署。現在は西新井駅)と並行していたのも一因かもしれない。
 しかし[王40]は配車台数が多いため、出入庫を行う回数もかなりのものであった。そうすると時間帯によっては連続して環七に回送車が通るということもあり、環七でバスを待っていた客からの苦情もあったようだ。そのためか、平成7年3月の改正でほとんどの出入庫が西新井駅~[王40]~豊島五丁目団地~(回送)~北車庫、というように操車所のある豊島五丁目団地まで営業運転をするように改められ、豊島五丁目団地からはトンボ鉛筆・北本通りで北車庫まで回送するのがメインとなり、環七を回送するのは始発と終発時間帯が中心になった。
 そんなわけで、西新井駅~豊島五丁目団地は本線の本数に加えてたくさんの営業運転するバスが走ることになった。今から環七経由に変わったとしてもメリットがそれほど多いわけでもなく、この路線は幻のままである可能性が高そうだ。

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