都営バス資料館

東西南北の果ての停留所

 都営バスの中で、最も東西南北にある停留所はどこだろうか。ふと気になって、調べてみた。一般定期路線に限定するとして、それぞれの最果てはどこだろうか。戦後(昭和21年度~)からの変遷も出してみよう。

最北(現在)

 現在の最北にある停留所は青梅市成木にある高土戸(たかっと)停留所。[梅76](裏宿町・河辺駅~上成木)が停車する。他にもっと北っぽいところがありそうであるが、都営の中では青梅地区はかなり北に位置しているためである。終点の上成木に向かって北上していくため、終点が最も北にありそうなものだが、山道を登ることもあってカーブも多いため、終点の2つ手前である高土戸が最北となる。周辺には小さな集落と神社があるだけの、のどかな停留所である。
 青梅地区を除くと最北となるのは見沼代親水公園駅で、[里48]の終点となっている。舎人ライナー開業以降、減便を重ねながらバス便が残っている。都県境までは徒歩でもすぐとなる。
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▲高土戸付近[塩]

最北(史上)

 史上最北にあったのは越ヶ谷駅前停留所である。東武と共同運行をしていた[133]系統(池袋駅東口~越ヶ谷駅)が昭和36年~45年まで運行しており、その終点停留所である。ひたすら日光街道の旧道を北上する超長距離の路線で、今や東武バスまで撤退してしまった地区にまで乗り入れていたというのは感慨深いものがある。その後も、最北の地位は日光街道筋の路線が独占していた。記録が更新されるのは舎人二ツ橋延長の際のことである。
 ちなみに、平成2年に東武と共同運行で深夜急行春日部駅行きが開業し、越谷より北の春日部駅が一応の最北停留所となった。しかしこちらも平成6年には都営が撤退し、東武のみの運行となっている。

(高土戸は昭和50年4月7日開業)

期間 停留所名 現住所
S21. 4. 1~ 荒川土手 足立区江北
S22~ 西新井大師 足立区西新井本町
S22. 6.25~ 草加 埼玉県草加市高砂
S25. 4.15~ 浦和駅 埼玉県浦和市高砂
S36. 7.20~ 越ヶ谷駅 埼玉県越谷市弥生町
S45. 3.15~ 草加栄町車庫 埼玉県草加市栄町
S46. 2. 1~ 北保木間町 足立区保木間
S50.10. 1~ 水神 足立区保木間
H15. 4. 1~ 舎人二ツ橋・見沼代親水公園駅 足立区舎人

最南(現在)

 最南の停留所は大田市場停留所。青果と花の市場、大田市場の構内にある停留所であり、[品98](品川駅東口~大田市場)の終点となる。大田市場内は、現在の都営バスで唯一大田区に乗り入れる区間でもある。大田市場が完成する前は、大田市場の入口を走る環七の終点近くにあった大井埠頭第七公園(後に野鳥公園入口、現在は廃止)停留所が最南端だった。

最南(史上)

 最も南まで達していたのは新川橋停留所である。唯一の神奈川県乗り入れ系統であり、京急と共同運行を行っていた[115](東京駅八重洲口~川崎駅)の終点2つ手前の停留所である。現在でも、臨港バスが頻繁に発着している停留所である。
 しかしながらほとんどが京急の電車と並行しているということもあってか、昭和40年には路線を組み替え羽田空港発着に変更した。その廃止後は東急との共同運行系統が候補となり、それも路線再編成で廃止された後は[品98]関連がランクインしている。

期間 停留所名 現住所
S21. 4. 1~ 三光坂下 港区白金
S22. 6.25~ 洗足池 大田区南千束
S23.12.15~ 池上駅 大田区池上
S24. 2. 1~ 新川橋 川崎市川崎区南町
S40. 8.25~ 羽田空港 大田区羽田空港
S45.12. 1~ 池上駅 大田区池上
S52.12.16~ 丸子橋 大田区田園調布
S53. 7.20~ 大井埠頭第七公園 大田区東海
H 1. 5. 6~ 大田市場 大田区東海

最東(現在)

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 最東端は千葉県の境まで迫る雷かコーシャハイム南葛西かと思うところだが、実は東端の停留所は篠崎駅停留所。いまいち影の薄い [船28](船堀駅~篠崎駅)が頻発する京成バスにまぎれてたまに発着している。

最東(史上)

 史上最も東端にあった停留所は、千葉県内に乗り入れていた浦安終点でも市川駅でもなく、[船28]の一応の前身である[新小24](東新小岩4~京葉交差点~篠崎町・今井循環)が通っていた内沼停留所である。何の変哲もない近郊の住宅・工場街にある途中停留所だが、東京都でも一番東に張り出した部分のため、千葉県内停留所を抑えて堂々の最東端となった。
 開通当初は京成電鉄との共同運行であり、現在も京成バスは小岩駅等に向けて頻繁に運行されている。都営の撤退は新宿線の船堀~篠崎間開業時である。
 ちなみに、一般路線に限らなければ、[107]系統(東京駅北口~市川駅)が船橋オートの開催に合わせて昭和25年の1シーズンのみ船橋駅まで臨時延長したという記録が残っており、これも含めると船橋駅が東端になるが、瞬間最大風速ということもあり記録からは除外する。

期間 停留所名 現住所
S21. 4. 1~ 新田(現葛西駅通り) 江戸川区中葛西
S21. 8. 1~ 今井 江戸川区江戸川
S22. 6.25~ 市川駅 千葉県市川市市川
S26. 8.10~ 浦安学校 千葉県浦安市北栄
S43. 4.10~ 内沼 江戸川区篠崎町
S61. 9.14~ 篠崎駅 江戸川区篠崎町

最西(現在)

 青梅地域を含めた全域では、文句なく御嶽駅前停留所が最西端になる。土休日のみの運行となる[梅01](青梅駅~玉堂美術館循環)のほぼ終点近くの停留所で、付近には旅館と西東京バスの御岳ケーブル方面ターミナル、そして谷底には多摩川の渓谷美が拡がる停留所だ。従来は玉堂美術館が終点だったが、終点付近の循環化に伴い、わずかだが記録が更新された。
 23区内に限定すると、こちらは大泉学園駅となる。かつては新宿駅直通だった[新江62](大泉学園駅~新江古田駅)がタイトルホルダーだったが、近年の系統廃止後は[渋66]の杉並区役所停留所となる。

最西(史上)

 奥多摩湖停留所が最西端の停留所であった。唯一とも言ってもいい行楽急行系統の[305]系統(新宿駅西口~奥多摩湖)の終点となっていたところで、当時はレジャーの需要がそこにもあったということを思わせる路線でもある。奥多摩湖廃止後は青梅車庫が一瞬西端になった後、[梅76](上成木~吉野)を西武バスから譲り受けて上成木に端の座を譲った。

期間 停留所名 現住所
S21. 4. 1~ 杉並区役所 杉並区阿佐谷南
S22. 2.15~ 荻窪駅 杉並区天沼
S23. 5. 1~ 石神井公園駅 練馬区石神井町
S24. 8. 7~ 青梅(現青梅車庫) 青梅市森下町
S36. 7. 1~ 奥多摩湖 奥多摩町原
S46. 3.17~ 青梅(現青梅車庫) 青梅市森下町
S50. 4. 7~ 上成木 青梅市成木
H 2. 7.22~ 玉堂美術館 青梅市御岳
H17. 4. 1~ 御嶽駅 青梅市御岳本町

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▲御嶽駅付近[ゆる]

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