都営バスでは、いすゞ(いすゞ自動車)・日野(日野自動車)・三菱(三菱ふそうトラック・バス)の3社のバスを導入している。日デ(日産ディーゼル工業→UDトラックス)についてもバス事業撤退までは継続的に導入していた。
各車庫に配置される新車に関しては、シャーシメーカー・ボディメーカーの組み合わせが原則として決まっていたのが特徴である。整備性の向上などを目的として同じ組み合わせを入れていた。昭和20年代後半から導入メーカーは車庫ごとに固定されており、例えば渋谷営業所は三菱、大塚営業所はいすゞ、という具合だった。
さらに昭和51年度(D代)からは原則ボディも固定され、複数ボディメーカーを並行して入れていたいすゞ・三菱については、車庫単位でボディを分けていた。いすゞであれば、川崎重工ボディは新宿・八王子・小滝橋・大塚・江戸川、富士重工ボディは(滝野川)・巣鴨・深川といった具合である。
ただし、ボディメーカーの統合やノンステップや低公害バスなどの特殊なバスの導入もあり、この原則は'90年代中頃から少しずつ崩れていった。
平成16年度(M代)はいすゞ・日野の2メーカーの導入になった。平成17年度(N代)からは一般競争入札で一般車・低公害の導入区分ごとに単一メーカーの導入となり、営業所とメーカーの法則は薄くなっていった。それでもなお、渋谷や江東のように看板路線は元々の指定メーカーの車を好んで運用するといった名残は残っている。
また、特定車や貸切車に関してもかつては一般車に準じたメーカーの組み合わせとなっていたが、観光車は平成3年度(X代)から、特定車は平成11年度(F代)から配置に関係なく同一年度に投入するメーカーは全て同一となっている。。
これ以外にも、運転席側のサイドミラーや一時期の行き先表示器・音声合成放送・運賃箱のメーカーも車庫単位でそれぞれ2タイプに分かれ、各営業所でどの組み合わせをとるかが厳格に決まっていた。公営企業ゆえ、特定のメーカーだけを入れないといったポリシーもあったのだろう。現在はコスト優先ということもあり、基本的にはこれらの機器はそれぞれ単一メーカーの品を大量導入するようになっている。
車庫(文字) | ナンバー | シャーシ | 基本ボディ | 旧音声合成 | 旧車内表示器 | 旧運賃箱 |
品川(A) | 品川 | 日野 | 日野 | レシップ | クラリオン | 小田原 |
港南(Y) | 品川 | - | - | クラリオン | レシップ | - |
×目黒(M) | 品川 | 日野 | 日野 | クラリオン | レシップ | 小田原 |
渋谷(B) | 品川 | 三菱 | 呉羽 | クラリオン | クラリオン | NEC |
新宿(C) | 練馬 | いすゞ | 川重 | レシップ | レシップ | 小田原 |
×八王子(X) | 八王子←多摩 | いすゞ | 川重 | - | - | - |
杉並(D) | 杉並←練馬 | 日野 | 日野 | クラリオン | クラリオン | 小田原 |
青梅(W) | 八王子←多摩 | 日野 | 日野 | クラリオン | クラリオン | 三陽 |
小滝橋(E) | 練馬 | いすゞ | 川重 | レシップ | レシップ | 小田原 |
早稲田←戸山(T) | 練馬 | 三菱 | 呉羽 | レシップ | クラリオン | NEC |
練馬(F) | 練馬 | 日デ | 富士 | レシップ | レシップ | 小田原 |
×大塚(G) | 練馬 | いすゞ | 川重 | レシップ | クラリオン | NEC |
巣鴨(P) | 練馬 | いすゞ | 富士 | クラリオン | レシップ | NEC |
北(N) | 練馬 | 日デ | 富士 | クラリオン | クラリオン | NEC |
×滝野川(N) | 練馬 | いすゞ | 富士 | - | - | - |
×志村(Y) | 練馬 | 日デ | 富士 | - | - | - |
千住(H) | 足立 | 三菱 | 三菱 | クラリオン | レシップ | NEC |
南千住←新谷町(K) | 足立 | 三菱 | 三菱 | クラリオン | クラリオン | 小田原 |
青戸(Z) | 足立 | 三菱 | 三菱 | レシップ | クラリオン | 小田原 |
江東(L) | 足立 | 日デ | 富士 | クラリオン | レシップ | NEC |
臨海←江戸川(R) | 足立 | いすゞ | 川重 | クラリオン | クラリオン | 小田原 |
×今井(U) | 足立 | 日デ | 富士 | - | - | - |
江戸川(V) | 足立 | - | - | レシップ | クラリオン | - |
×葛西(V) | 足立 | 日野 | 日野 | レシップ | クラリオン | 小田原 |
深川(S) | 足立 | いすゞ | 富士 | クラリオン | クラリオン | 小田原 |
※シャーシメーカー……港南・江戸川はメーカー指定が崩れた後に開設された車庫のため省略。
※ボディーメーカーは以下の通り。
・川重……川崎重工。昭和61年からIKC(アイ・ケイ・コーチ)、平成7年からいすゞバス製造、平成16年10月からJ-BUS(ジェイ・バス)
・富士……富士重工。いすゞ-富士重工の組み合わせは平成9年度(D代)限りで、それ以降は全車川重系ボディに統合。平成14年度でバスの車体製造から撤退し、以降の日産ディーゼルは西日本車体工業が基本ボディとなる。
・日野……日野車体工業。昭和50年3月までは帝国自動車工業。
・三菱……三菱自動車工業。昭和45年5月までは三菱重工業。
・呉羽……呉羽自動車工業。昭和61年からは新呉羽自動車工業。三菱・呉羽は平成5年に統合しMBM(三菱自動車バス製造)に。平成15年からは三菱ふそうバス製造に改称。
※旧音声合成は平成7年~19年に使われていたもの。このうち、青梅・巣鴨・千住は初期導入で品質が微妙に異なる。平成18~19年度の更新でレゾナントシステムズ製のものに統一された。
※旧次停留所表示器は平成12年頃~平成27・28年度に使われていたもの。
※旧運賃箱は昭和61年頃~平成13年頃に使われていたもの。