令和3(2021)年9月下旬、東京都交通局は令和2(2020)年度の決算速報を公開した。詳しくはこちらから。
新型コロナウィルスの影響で大幅に乗客減となり、都営バス乗客数は1日あたり50.1万人(▼13.1万人)。地下鉄の前年比32%減に比べると、何とか20%減で済んだと言うべきか。
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乗車料収入は283億(▼79億)、営業赤字104億円と近年にない額になっている。経常赤字は95.4億円と、前年度の17.4億から80億円ほど悪化した。交通局の総括では「今後もテレワークをはじめとする利用者の行動変容などから、乗車人員がコロナ禍以前の水準に回復することは当面期待できず、当局は厳しい経営環境に置かれています」となっており、可能な限り支出の抑制を図ることが書かれている。当面積極的な施策はあまり期待できない見込みだ。
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なお、軌道事業(都電)は1日3.9万人で0.8万人(16.7%)の減、新交通事業(日暮里・舎人ライナー)は1日7.3万人で1.8万人(20.3%)の減、高速電車事業(地下鉄)は1日191.8万人で91.3万人(32.4%)の減となっている。これにより、全営業収入(収益)が1,462億円(前年度比28.3%減)、経常損益は赤字に転落し254億円の赤字(前年度比533億9百万円減)となった。
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系統別収支は今後公開見込み。9月の公営企業員会での局長答弁では、9割以上の系統が赤字となっていることから、全134系統のうち黒字は10系統程度と見込まれる(前年度は29系統が黒字)。昨年度は緊急事態宣言で特に大きく乗客数が減った4~5月の影響を大きく受けていると考えられ、今年度は多少なりとも成績の回復を祈りたいところだ。
▲乗客数・収益のグラフ(平成12年度~)
▲運輸成績・決算総括表(交通局の決算資料より)