X代(平成24年度)に8輛のみ導入された、いすゞ製のハイブリッドバスである。ハイブリッドはパラレル式となっている。
車輛の外見は日野BRCハイブリッドのように屋根上に電池ユニットが乗っているわけでもなく、普通のエルガと変わらない。ハイブリッドシステムはバス車内後方に設置されている。ラッシュ型仕様・尿素タンク増設といった部分はディーゼル車と同様である。数少ない相違点は、ハイブリッドバスであることをアピールするために車体に「Hybrid」のロゴマークが入れられているのと、ハイブリッドシステムの異常表示灯が独立して取り付けられている部分である。
車内レイアウトはX代ディーゼル車をベースに、運転席側最後部の2席分を削減しアメリカ・イートン社製のパラレル式ハイブリッドユニットを搭載した。この部分の側面には窓が設置されておらず、その代わりにハイブリッドシステムの通風口と点検蓋が設置され、側面窓と連続した意匠になるように黒く塗装されている。残りの最後部座席も肘掛けを設置することで2.5人分の座席幅とし、ハイブリッドユニット直前列の座席についても、通常よりも幅が狭いハイパックシートの座席を設置している。最後部座席への出入り時の流動性確保と、車軸重量制限のための座席定員数の調整もあるのだろう。
システムについては、エルガシリーズに搭載している6HK-TCCエンジンと、最大出力44kWのHB1型モーターの組み合わせである。バッテリーは日野のニッケル水素バッテリーに対し、いすゞはリチウムイオンバッテリーを採用した。駆動部分では日野と異なり、いすゞはエンジンと走行用モーターの間にクラッチを配置したため、発進時にはエンジンがアイドリング状態のままモーターだけで走行可能となっている。
発進後の加速については、モーターの特性を生かしてエンジンアシストを行ない、ブレーキ時にはモーターが発電機となる電力回生ブレーキを行い、リチウムイオンバッテリーに充電する。加速・減速の多い路線バスでにおいて、エンジンアシストと回生ブレーキの両モードを効果的に活用することで効率的なハイブリッド効果を引き出している。
外観は既存車と変わらないが、発進時はモーター音しかせず、まるで電気バスという感じなのが日野BRCよりも新鮮である。そしてハイブリッド性能を最大限に引き出すために、ハイブリッドシステムと同様にイートン社製の自動変速式MT(AMT/Automated Manual Transmission)を採用した。平成初期に試験導入した機械式オートマチックに近いが、以前のような不自然な変速ショックがなくなっている。
また、停車時にはアイドリングストップ&スタートシステムが動作するが、エンジン再起動のためにクラッチペダルの場所にエンジン再起動ペダルが設置されている。
ただし運転にクセがあるということか、当初導入された品川・南千住・深川からは全て数年以内に転出しており、平成29年現在は新宿・青戸・臨海とはとバス委託の車庫に固まっている。
▲S-X290[濱]
▲S-X291[あむ]
▲R-X295[五]