都営バス資料館

市場専用車

[市01](新橋駅~築地中央市場)は路線環境も特殊なら、車輛の面でも専用車での輸送を行なっているという特徴があった。朝早くに魚介類を買い付けて乗り込んでくるという都合上、座席は水で濡れることが多く、生臭い匂いが漂うことが多い。そのために、座席を全面ビニール張りとして汚れを落としやすくしていた。

▲品川のB代改造車 車内[o]

元々は[市01]は古参車のたまり場であった。新車のときから[市01]専用にすると走行距離が稼げないため、ある程度経年した車を専用車とすることを繰り返してきた。昭和40年代中頃までは古参となったツーマン専用車を用い、その後はK代(昭和40年度)車を用い、昭和52年の除籍後はW代(昭和45年度)車(W500~506)とB代車(B461~466)を、さらに昭和56年にB467~472も杉並から転入後はこれも専用車になった。それ以外にはG代冷房車(G506, 507)も用いていた。

▲A-K536[上]
▲A-X461[櫻]
▲A-B465[櫻]

W代の時点でビニール張りのシートとなっており、古くからの仕様であった(G代のみ前向き座席)。なお、昭和55年10月に[市01乙](新橋駅~朝日新聞社)が運行を開始したが、魚の輸送とは関係ないということか、ビニールシートには限定されず、こちらはその時の古参車が入ることが多かった。

▲A-G507[L]
▲A-H111[o]

昭和62年2月にB代が除籍されると、新車までのつなぎで車体更新直前のH代車が運用に入り、4ヶ月ほど専用車とした。車体更新で車内も綺麗にするため、匂いがついても良いということだろう。昭和62年6月にはS代中型車(S800~808)が導入された。

▲S代[櫻]
▲[東90]に入るA-S801[o]

これらの専用車は運用も完全に一般車とは区分されており、営業所内の車輌一覧表でも 「魚河岸」として別の欄に記載されていた。なお、運転手も「市場班」として一般系統とは別枠で選ばれた人が主に運転にあたっていた。この仕組みは現在でも引き継がれている。
当初は走行距離が稼げないために休日を中心に他系統の運用に入っていたが、においはなかなか取れないものらしく、ほどなくして市場専属となった。


▲A-W874

平成2年にはW代中型が導入された。当初は[反90甲乙]用で、平成4年の目黒移管の際にW874~877は市場専用車へと改造された。その後、平成11年2月から3月にかけてS 代除籍と入れ替わりにE代中型車(E800~808)が入っている。
新たな座席の模様の試験も兼ねて、床色はグレー、座席はパステル調の紫(優先席はベージュ)としたが、結局これらの市場専用車のみの仕様となった。(モケットの項も参照)

▲A-E804

▲A-B847, 848

平成13年から14年にかけてW代と入れ替わりに、深川からB847, 848が、青戸からE891, 893が転入して市場専用車に改造された。三菱の中型は日野指定の品川では異色の存在だった。平成14年12月には[市01]の減便によりB847, 848は一般仕様に戻って[反90](五反田駅~三田駅)等の中型系統に使われたほか、E805~808も同様に一般系統向けとなっていた。これ以降は市場専用車として使われていたのはE800~804, 891, 893の7輛となっていた。

▲A-E801[五]
▲A-E891[五]  
平成23年にこれらの専用車は全て引退することとなったが、豊洲市場への移転もあって先行き不透明だったため、青梅支所に導入された中型車(S810~816)を品川に持ってきて改造することとなった。転入にあたっては、市場専用装備としてビニールシートに交換し、深川の自動車工場にて前乗り後降りへの改造で車外スピーカーを前扉に増設し、その他整理券発行機などの設備を撤去するなど大掛かりな変更を行っている。モケットはE代の仕様を引き継いだが、優先席も一般と同じく薄紫色となっている。


▲A-S813[五]

元々中乗り仕様なので、車外スピーカーは中扉脇にあったため、スピーカーは2つ並ぶ面白い姿になったが、後ろ側は配線が来ていないため、ただの飾りになっている。転入はおおむね2~3週間に1輛のぺースで行われ、9月から12月にかけて行われた。現在はこの7輛が専属となっているが、休日は全休となるため、車庫離れの中型車専用ゾーンで仲良く並んでいる姿が見られた。
平成28年11月には築地市場は閉場し、新たに豊洲市場に移る計画となっていた。これに合わせて[市01]も新橋駅~豊洲市場へと延伸する予定だった。しかし、豊洲への移転は延期となった。
もともと移転に合わせて台数増もあり、大型に統一してS代中型車は他社に売却が考えられていたのだろう。移転延期より前に売却が決まっていたという可能性が高そうだが、本来の移転日の11月上旬でS代は引退し、新たに古参のN代が当面の市場専用車として使われることになった。N273, 274, 275, 279, 280が対象で、一部の車は車内に市場カレンダーを掲示している。これ以外にもM代を中心に一般車がかわるがわる穴埋めで[市01]の運用に入っている。

▲A-N279

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