都営バス資料館

交通局、令和3年度予算案を公表

令和2(2020)年10月に、令和3(2021)年度の予算原案が交通局Webサイトにて公開された。新型コロナウイルスの影響でともに乗客数・収入が大幅に減少する予想で、都営バス事業を含む自動車運送事業では前年度より34億円悪化した60億円の赤字を見込む予算となった。
予算の基本方針としては、新型コロナウィルスによる大幅な乗客減の中で事業を継続することを第一に、以下の3点を基本として据えている。

・安全・安心の確保を最優先に、収入・支出の両面から事業全般にわたる見直しを進め、中長期的に安定した事業運営を行い得る経営基盤を堅持すること。
・質の高いサービスの提供と東京の発展への貢献を進めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策やデジタル技術の活用を通じた構造改革に取り組むこと。
・東京2020大会期間中の輸送の主力を担う公共交通機関として、安全で安定的な輸送及び快適で利用しやすいサービスの提供を実現すること。

(https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/about/information/budget/pdf/budget_03_02.pdfより)
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令和3(2021)年1月には原案をブラッシュアップした「予算案」が公開されたた。
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まず、業務の予定量として、期首在籍車両数は乗合1,529、貸切8の計1,537台となっている。現在は乗合1,540+しおかぜ1台の計算となるため、M代の除籍が追加でありそうだ。
想定輸送人員は1日あたり60万2千人と9万3千人(13.5%)の減。実際よりもやや多い数値を掲げるのが常だが、実際もこれくらいの減少幅かそれ以上となりそうだ。運賃収入は、都営バスでは前年度当初の予算から比べて58.8億円(13.7%)減の369.2億円を見込む。年間走行距離は令和2年度の4,735万kmから4,730万kmとなっておりほぼ横ばいである。少なくとも期首に大減便を行う予定はないということだろう。
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営業費用も自動車運送事業では480.6億円と、前年度から14億円減で経費節減を見込むが、元から赤字を想定していたところ、さらなる大幅な赤字は避けられない見通しだ。
乗客増に急ブレーキがかかって新規取り組みの凍結なども考えられる中、具体的な都営バスにかかわる概要は以下の通りである。
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感染症対策の推進
・バス運転席の仕切扉を大型化するなど車両設備の改修を実施。全事業横断で2億6,400万円を見込む。

バス停留所施設の整備
・朽化した上屋の更新やベンチの設置など、停留所施設の維持・改善を実施。前年度から半分以上減って1億4千万円。

デジタルトランスフォーメーションの推進
・社会の変化に適応し、安全性や利便性の更なる向上を図るため、 デジタル技術を活用した取組を展開。バス・地下鉄事業で2億2,800万円。新規事業だが、具体的な取り組みは不明。

地下鉄・バスにおけるLED照明化の推進
・前年度から項目は変わらずだが、前年より6割以上減って5億4,600万円の予算となった。

バスにおけるゼロエミッション・ビークル(ZEV)化に向けた取組
・燃料電池バスの運行とEV(電気)バスの導入検討を実施。昨年とほぼ同額の2億3千万円。
 EVバスについては昨年度の入札で導入の場合の具体的な検討を調査会社に委託しており、どのような結果となるか注目される。

そのほか、バス関連では「関連事業の推進」「運輸系人材の確保」が挙げられる。
令和2年度と比べて項目自体が消滅したのは「バス運行管理システムへの新技術導入」程度で、元からバス事業の項目が少なかった。バス運行管理システムへは、本年度に新たなIP無線網の構築、新・出入庫システムのGPSを用いた改修が行われている模様で、既に実現済みということもあるのかもしれない。また、「オープンデータ化の推進」も特に触れられてはいない。
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燃料電池バスや新車導入については項目がそもそも立っていない。当初の経営計画ではオリンピックまでに燃料電池バスを最高70台導入となり目標を達成しているため、どうなるか気になるところだ。

▲予算案 令和3年度 p.4

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