都営バス資料館

交通局、令和4年度予算案を公表

交通局は令和3(2021)年11月に令和4(2022)年の予算原案を、またほぼ同一内容となる予算案を本年1月に交通局Webサイトにて公開された。新型コロナウイルスの影響でともに大幅な赤字を計上しているが、底の時期より多少乗客が戻る見通しとして、自動車運送事業では3年度の予算の経常損益が60.1億円に対し44.6億円と15億円の改善を見込む。
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予算の基本方針としては、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応しながら、「お客様に一層信頼され、支持される都営交通を目指す」予算として、以下の2点を基本方針としている。

・安全・安心の確保を最優先に、収入・支出の両面から事業全般にわたる構造改革を進め、中長期的に安定した事業運営を行い得る持続可能な経営基盤を確立すること。
・質の高いサービスの提供や東京の発展への貢献など、東京2020大会に向けて磨き上げてきた取組を都市のレガシーとして展開するとともに、「ポスト・コロナ」を見据えた取組にも果敢に挑戦すること。

(https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/about/information/budget/pdf/budget_04_02.pdfより)
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まず、業務の予定量として、期首在籍車両数は乗合1,501、貸切8の計1,509台となっている。現状の車両数よりわずかに多いのが気になるが、研修車も数に入れているのだろうか。
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想定輸送人員は1日あたり55万5千人と3年度予算に比べて4万7千人(7.8%)の減。実際よりもやや多い数値を掲げるのが常だが、コロナの影響で底となる令和2(2020)年度の実績が50万1千人のため、乗客数の回復具合を考えると今までよりもかなり現実的に近い数字になりそうだ。
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実際もこれくらいの減少幅かそれ以上となりそうだ。運賃収入は、都営バスでは前年度の予算から比べて13.4億円(3.6%)減の355.8億円を見込む。年間走行距離の予定は令和3年度の4,730万kmから4,437万kmと6.2%減少しており、ついに新型コロナ以降で規模を維持してきた都営バスでも各系統での減便がありそうだ。
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予算においては営業費用が自動車運送事業では449億円と、前年度から31.5億円の大幅減少となっている。コストのかかる取り組みは凍結となり、バス関連の新規の取り組みはかなり少なくなっている。具体的な都営バスにかかわる概要は以下の通りである。
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感染症対策の推進
・バス運転席の仕切扉を大型化するなど車両設備の改修を実施。
 前年度から継続、全事業横断で2億1100万円(5300万円減)を見込む。

バス停留所施設の整備
・朽化した上屋の更新やベンチの設置など、停留所施設の維持・改善を実施。
 前年度の半減からさらに1100万円減って1億2800万円。

デジタルトランスフォーメーションの推進
・社会の変化に適応し、安全性や利便性の更なる向上を図るため、 デジタル技術を活用した取組を展開。
 「車両情報収集システムの導入などデジタル技術を活用した取組を展開」が前年度に比べて追加された。
 ここはバス・地下鉄事業で6億5000万円と前年度予算より4億2200万円増。

バスにおけるゼロエミッション・ビークル(ZEV)化に向けた取組
・燃料電池バスの運行とEV(電気)バスの導入検討を実施。文面は変わらず、昨年とほぼ同額の2億3200万円。
 EVバスについては昨年度の入札で導入の場合の具体的な検討を調査会社に委託しており、どのような結果となるか注目される。

地下鉄・バスにおけるLED照明化の推進
・前年度から項目は変わらずだが、前年度は減らしすぎた反動か2億3800万円増の7億8400万円となった。

関連事業の推進
・バス停留所上屋を活用した広告事業の展開や、局有地の利活用 を推進するとともに、新たな増収策を検討
 800万円増の9400万円

運輸系人材の確保
・大型二種免許の未取得者に対して免許取得を支援する養成型の選考を実施するなど、運輸系人材の確保に向けた取組を推進
 6100万円増の1億400万円。

令和3年度と比べて項目自体が消滅したのはないものの、新しい取り組みの記載も見られない。「オープンデータ化の推進」はDX関連の記載に巻き取られたのだろうか。人材確保やLED証明の推進については増額が見られ、必要なコストをかける方針はうかがえるものの、新規ネタは当分お預けとなりそうだ。
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▲予算案 令和4年度 p.2

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