都営バス資料館

低公害-CNG

一般家庭と同じ天然ガスを圧縮して燃料とするバス。CNGはCompressed Natural Gas(圧縮天然ガス)の略。床下にガスボンベを内蔵し、通常のディーゼル車と同等の出力となっている。軽油を燃料とするディーゼルエンジンのバスに比べると排気ガス中の黒煙の排出がゼロで、窒素酸化物(NOx)を60~70%カットする優れた低公害車とされた。
平成6年12月に都庁で初のCNGバスのお披露目が行われ、A代(平成6年度)~E代(平成10年度)で93輛と多く導入された。E代(平成10年度)の一部車以降は「CNGノンステップバス」の項を参照。

 


▲CNGバス床下図(いすゞ車) 都営バス70年史資料編より

ガススタンド

低公害なバスとしては優れたバスだったが、新たに充填スタンドを用意するのが不可欠であった。最初に配属されたバスは東京ガスの現・千住テクノステーションにて充填を行うこととなり、南千住に配属された。そのため充填所が休みになる休日は運行されなかった。
その後、通産省(当時)の助成も活用し、平成7年2月に深川に、8年3月に臨海に、また平成8年度には北のそれぞれ営業所構内に充填施設を建設し、それぞれの営業所にCNGバスが配属されるようになった。平成13年からは都庁地下にCNGスタンドが完成し、新宿(後に小滝橋)にも配属されるようになり、[C・H01](都庁循環)用にもCNGバスが走るようになった。
その後、低公害バスに対する時代の変化もあり、北は平成23年度限りで、深川は平成25年度限りで閉鎖された。都庁スタンドも改修で平成26年9月で閉鎖され、CNGバスは「しおかぜ」用の1輛を除いて臨海に集約された。
「しおかぜ」用のリエッセは閉鎖後は枝川地区のCNGスタンドで充填していたが、除籍されたため現存しない。


▲臨海のガススタンド


▲臨海に建設中[塩]

▲南千住のガススタンドからの回送

▲臨海のスタンド機器各種

▲深川のスタンド

▲運転席の充填キースイッチ(B代)

▲給ガス口・充填弁(平成8年)

A代(平成6年度)

日産ディーゼルは平成6年末にガス会社との共同開発でCNGバスの実用化にこぎつけ、東京都をはじめとした8都市に1輛ずつ納入した。
仕様は都市新バス仕様車をベースになっており、エアサス仕様(U-UA440HAN改)である。当初は重量の関係で最後部座席両端には座席がなく3人掛けだったが、増設しても問題ないことが確認され、平成7年12月頃に5人掛け席となった。
平成7年3月には深川にCNGの充填施設が完成し、東京ガスの協力のもといすゞ(A450, KC-LV280L改)・日産ディーゼル(A475, U-UA440HSN改)が1輛ずつ導入され、実用性の評価を行うべく1年間の試験運行を行った。いすゞはエンジンは観光車用の直噴V型8気筒のエンジンをベースにCNG用に改造したものを搭載した。日デは車体に東京ガスのステッカーが貼られているのがポイントで、都営バスのCNG車唯一のリーフサス仕様でもある。
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▲K-A476 都市新仕様(塩)
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▲S-A475 一般仕様(五)
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▲S-A450 いすゞ(塩)


▲S-A476[ア]

▲S-A476

▲S-A450

▲S-A450


▲東京ガスのロゴ


▲A475車内(更新後)[北]

▲A476車内(更新後)[北]

B代(平成7年度)

平成7年12月の道路運送車両の保安基準の改正でCNGバスは特別な手続き不要で運行できるようになった。
臨海にスタンドが完成し、いすゞ(NE-LV288L)は深川・臨海に計10両が、日デ(NE-UA4E0HAN)は同じく深川・臨海に計8輛が導入された。
いすゞは新たなCNG用のV型8気筒エンジンとなる8PF1型を搭載した。特徴として、燃料計がなくメーターパネル右側にデジタル式の圧力計が設置されているほか、都営バスの場合は排気ブレーキが搭載されていない。導入時は一部の車の前面方向幕両脇が青パネルだったが、後に黒になった。また、床下のボンベの占める体積が増加したため、冷房機器のコンデンサーなどがまとめて屋根上に設置されている。
日デのエンジンはCNG車専用の235psのPU6型を搭載した。
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▲S-B609(五)
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▲R-B620(塩) 前面幕両脇が青
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▲R-B625(タ)


▲S-B617

▲いすゞB代車内[北]

▲日デB代車内[北]

C代(平成8年度)

いすゞ(NE-LV288L)は深川・臨海に計11輌導入された。冷房機形状の変更、コーナリングランプの廃止、車内座席配置の見直しなどの変更が加えられた。
日デ(NE-UA4E0HAN)は北に9輌登場した。北にCNG充填設備が完成したため集中投入となった。
なお、いすゞ車も含め、ガスの充填口が1箇所だったのが左右2箇所になっている。
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▲R-C229(塩)
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▲N-C235(き)


▲S-C235

▲N-C237[き]

▲いすゞC代車内[北]

D代(平成9年度)

いすゞ(NE-LV288L)は深川・臨海に計12輌導入された。D代の標準仕様とは異なり、側面幕下は従来通りの引き違い窓で製造された。ただし、窓レールにストッパーがあり開かないようになっている。
深川に導入された3輌は、優先的に進路が青信号になるPTPSを取り付けた[虹01]専用車として導入され、のちに虹のイラストが車体に描かれた。[虹01]撤退後もイラストはそのままだった。
日デ(NE-UA4E0HAN)は北に14輌導入された。C代から大きな変更はない。北のCNG設備の廃止とともに除籍され始め、最後まで残ったCNGツーステップ車として平成23年2月にさよなら運転を行った。
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▲R-D262(五)
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▲N-D282(五)


▲S-D256

▲S-D252

▲N-D279[き]

▲いすゞD代車内[北]

▲日デD代車内[北]

E代(平成10年度)

いすゞ(NE-LV288L)は深川・臨海に15輌導入された。他と同じく行灯が廃止され、前面がステッカー貼り付け仕様になっている。
三菱(KC-MP717K改)は深川に2輛導入された。平成10年10月発売のニューエアロスターのCNG仕様をいち早く導入したもので、唯一のCNGツーステップとなっている。エンジンはディーゼル用の6D24をベースにしたCNGバージョンで、マフラー内蔵型三元触媒を採用することで大気汚染物質の排出量を極めて少なくすることが可能となった。床下にはガスボンベを搭載する関係上、ノンステップバスと同じくコンデンサー等一体型のユニットを搭載した。
日デ(NE-UA4E0HAN)は北に9輛導入された。エンジンルーバーに若干の変更がある。
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▲R-E350(き)
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▲S-E360(五)
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▲S-E370(五)
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▲N-E373(タ)
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▲N-E379


▲S-E360[五]

▲S-E370[五]

▲N-E379[五]

▲いすゞE代車内[北]

▲三菱E代車内[北]

▲日デE代車内[北]
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