令和6(2024)年10月中旬に、交通局のサイトに令和5(2023)年度決算による系統別収支が発表された。
各系統の収入・支出・乗車人員・営業係数(100円を得るためにどれくらいの経費が必要か)が明らかになっている。
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昨年度は決算速報でも記載した通り、経常黒字とともに60年以上ぶりの営業黒字を達成した。コロナ禍の減便の中で乗客が増加し高効率になったこと。定年延長で退職金相当の支出がなかったことも後押ししたが、主要因としては運賃収入の増加によるところが大きい。黒字系統数は令和4(2022)年度の28から47系統に増え、コロナ前の令和元(2019)年度の27、平成30(2018)年度の44系統を上回った。
1日あたりの乗客数については[都05](東京駅南口~晴海埠頭・ビッグサイト)が大幅な伸びを示し、乗客数のトップ10に躍り出た。なお、コロナ禍からの回復状況は地域によって異なり、38系統がコロナ禍直前の平成31年度より乗客数を増やしている。特にインバウンド効果で今までにない[陽12](東陽町駅~豊洲市場)や[渋88](渋谷駅~麻布台ヒルズ~新橋駅)などが前年より増加しているのが興味深い。
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※受託系統扱いとなっている[急行06](森下駅~日本科学未来館)、[江東01](潮見駅~木場・辰巳循環)は対象外となっているまた、[都02乙](池袋駅東口~一ツ橋)のように過去の経緯で[都02](大塚駅~錦糸町駅)にまとめられている系統も存在する。以前の公表時と同じく、青梅管内などの自治体の補助を得ている系統は補助前の収支となっている。
乗車人員
前年に続き増加(前年+6%)、大半(105/126系統)で乗客増となった。
僅差で3年ぶりに[都07]が首位。2万人超は2系統。1万人超は12→15系統に増えた。[都05][都08][東42][池86]などの増加幅が特に大きい。[都01]が1万人/日に回復。
乗車人員の下位は基本的には顔ぶれは同じだが、通勤メインの系統で影響が大きい[田92]、あと[井98]は少し気になる。[直行02]はそもそも最後は朝2便に減らされていたのでやむなしの順位か。[豊洲01][錦22]などは減便の影響を受けた形に。
令和4年度と見たときの対前年比増加率を以下に示す。[陽12]はチームラボ・千客万来効果か。[市01]も同様。
[上26][上46][東42](宿泊・浅草)、[橋86][浜95](タワー)・[渋88](麻布台)などインバウンドっぽい要素で押し上げてる系統が目立つが、[上01][新小20][門21]など謎なものもある。[都05]は伸びが著しいのがうかがえる。
乗車人員の対コロナ前減少率を示す。コロナ前より増えている系統が12→38系統に。
[陽12]が急上昇したのを除くと、[葛西21]がトップだが[都05]が迫ってきたほか、2/3の系統が-10%以内に収まるようになった。
[学02]の回復が遅いのが気がかり。通勤系統を除くと[宿75][飯62]も減ったままとなっている。
年間収入
10億円超えは4→7系統に。[都07]より[王40]・[都02]のほうが多めになっている。
こちらでも[都05]は大きく順位を上げ、黒字転換なので黒字額もかなり目立つようになった。
営業係数
黒字系統は、令和2(2020)年度が7しかなかったのが、12→28→47と数倍に増えた。[品99]が安定のトップ。3位に躍り出た[上69]は増便されないまま乗客増で効率があまりにもよくなった結果かもしれない。上位では[上46][都05][東42][池86]などが黒字転換した。
はとバスでは[葛西24][秋26][新小29]などが黒字に。いずれも初の黒字と思われる。運賃が安い学バスでは[学06]が良好だ。
下位の表を示す。営業係数200以上は令和2(20)年度20もあったのが、9→5→4と大減っている。明らかな幹線系統がこのエリアに来ることはほとんどなくなり、委託系統(赤字)が中心に。[里48]も少し改善したがダントツビリなのは変わりない。なお、青梅管内は沿線自治体からこの分の赤字補填あるため実質的には営業係数100と思われる。
黒字額の上位・下位
収入に関係なく、黒字に寄与した系統。
[都07][東22]の江東ペアが3億超えとなった。1億超えも8→17系統と良好。実は黒字TOP 5だけで100位これらの黒字(約13億円)で110位くらいまでの赤字系統は養っている構造。都営バスは少数の大幅な黒字系統で薄く広く赤字系統を養いきっている構造であることが分かる。
[都01]は今年度黒字になれそう。
赤字1億以上は19→4→2系統と減便もあり改善された。。