平成6年1月に登場したバス。今ではお馴染みの、停車時に自動的にエンジンが一時停止する仕組みである。
渋滞の増加に伴い、運行時間に対するアイドリングの時間比率が高くなったことに着目し、東京環境科学研究所ではアイドリング時にエンジンを止めて排気ガス量を減らす仕組みについて研究を行っていた。
一定の条件下でエンジンを自動的に停止するシステムは昭和61年に既にいすゞ自動車が三重交通の試験車で実験を行っており、安価に実現できる低公害の対策として交通局が協力して実用試験を行うことになった。対象車は大塚の都市新バス仕様のZ341~345の4輛(342欠番)である。
▲アイドリングストップのステッカー
このシステムで一番の問題点はバッテリーだった。エンジン停車中は車載バッテリーでサービス電源・セルモーター動作を賄うが、元々都営はメーカー標準仕様よりも大容量のバッテリーを採用していたため、問題なく対応可能だった。
エンジンのセルモーターについては強化版が採用されたほか、システム用の制御盤搭載のため、リア部分に設置しているコンソールボックスのサイズが大きくなっている。
導入当初はエンジンを停止→再始動した際に次停留所表示機が[系統選別中]と表示されリセットされてしまう事もあり、後に追加のサブバッテリーをエンジンルーム内に搭載するようになった。
当初は特に公表していなかったが、エンストではないかという利用者からの質問もあり、平成6年2月にプレス発表を行った。この機構により、NOx(窒素酸化物)と燃料が6%~7%(理論値14%)の改善が見られ、さらに燃費の改善にもつながったという。
翌年のA代(平成6年度)らくらくステップ・リフト車に標準で搭載し、X代(平成3年度)~の既存の一般車も一部後付けで改造を行うようになった。いすゞ自動車の場合は、このオプションは40万円以下で取り付けることが可能だったそうだ。
B代(平成7年度)はいすゞ以外にも広がりCNG・ERIP・HIMR・三菱リフト・三菱中型車を除く全車に、C代(平成8年度)以降はHIMR・CNGを除く全車に搭載された。電装機械類も当時と比べると非常に多くなり、サブバッテリーを搭載してもアイドリングストップ時にバッテリーが上がってしまう問題もあるようで、難しいところでもある。
▲G-Z344 特に外観の特徴はない
▲車内に掲示されたお知らせ
▲広報誌「ふれあいの窓」 No.31(平成6年3月)より
エコツムリマークがアイドリングストップの登場と同時期に出ているのが分かる