エンジンの高負荷時に燃料にLPG(液化プロパンガス)をコンピューター制御で添加することにより、ディーゼル車から排出される排気ガス中の黒煙を低減する仕組みである。
この技術の可能性を探るため、環境庁・運輸省の指導のもと、日本自動車工業会・バスメーカー各社と交通局の協力のもと、昭和63年から平成4年度までの5年間の調査を行った。
初年度は実用性調査やエンジン試験と仕様選定を行い、平成元年度は日野自動車の昭和60年式のエンジン(M10U)をLPG併用システムに改造し、バスを試作した。排出ガス特性や車輛性能の試験を行った後、平成2年9月に品川営業所に登場してW100の局番を名乗った。過去のエンジンを改造した都合上、型式はP-HT233BA改と1世代前の排ガス規制となっている。
塗装は白をベースに水色と草色のラインが下に入った特別仕様であった。当初は前面は交通局のイチョウマークだったが、途中で登録番号変更とともに日野自動車のエンブレムに交換されている。管内各地で試験を行った後、平成5年頃に除籍された。
▲A-W100 P-HT233BA改(き)
平成3年度はLPG燃料併用バスの汎用化として、いすゞ・三菱・日デの3社において、メーカー側でそれぞれ1輛ずつ既存の車をLPG併用バスに改造し、社内で走行試験を実施した。平成4年度は5輛(いすゞ…E-P588、日野…A-T363、三菱…Z-T402、日デ…F-T406,407)に拡大し6ヶ月間の走行調査を行った。この試験の結果、黒煙濃度は改造前の平均34%から改造後は18%と改善傾向を見せ、除籍までLPG併用システムは続けられた。
見た目は一般車と基本的に変わらず、「LPG併用バス」の小さなステッカーが貼られたのみであった。後に低公害車を示す「エコツムリ」ステッカーが前面幕脇に貼られ、練馬の車は唯一のエコツムリ+5Eボディの組み合わせとあって目立っていた。
▲A-T363 (き)
▲E-P588 (塩)
▲Z-T402 (塩)
▲F-T407 (塩)