令和2(2020)年9月末に、東京都交通局のサイトにて令和元(2019)年度の決算が公開された。
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昨年度は年明けまでは好調な成績を維持したものの、新型コロナウィルスの影響により2月・3月の乗客数が大幅に落ち込み、全体としては都営バスの乗車人員は1日あたり63.3万人、前年比1.5%の減少となった。乗客増は7年連続で途切れた。
それ以外の部門においては、地下鉄は乗客数が0.6%増の1日平均283.2万人、舎人ライナーは2.4%増の1日平均9.1万人、都電は1.5%減の1日平均4.6万人となっている。
ここでは、都バス・都電・舎人ライナー・上野のモノレールが所属する交通事業会計のうち、今年も自動車運送事業の値について着目したい。
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乗車人員は1日あたり632,701人で、昨年と比べて約7,000人の減となった。このうち、乗合自動車部門では定期乗車券が289,806人と0.9%の増加を見せたものの、新型コロナウィルスの影響もあって定期外が341,918人と2.7%の減少を見せている。貸切自動車は977人/日と2.9%の減だが、絶対数でみると大きな影響はなかった。乗車料収入もこれに伴って9,909万円/日と1.0%の減となっている。
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年間走行キロは5,099万kmで前年度比38万kmの減、走行キロあたり経常収入は996.9円/kmで4.9円の減、乗車効率は22.1%で0.4ポイント減となっている。
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自動車運送事業(都バス)・軌道事業(都電)・新交通事業(舎人ライナー)・懸垂電車事業(モノレール)を合わせた交通事業会計の収支は営業収益が492億2千万円と、前年度から8千万円の増となった。乗客減により運賃収入が減ったものの、建物賃貸料収入が増加したことで増となっている。
ただし、営業費用は車両購入や営業所開設、委託料増などで減価償却費や物件費が増加したことで営業損益は21億円悪化して32億1千万円の赤字となり、経常損益は28億6千万円の赤字となった。このうち自動車運送事業の経常損益がせ17億4千万円と多くを占めている。なお、営業費用のうち人件費が54%、修繕費が8%、物件費が26%、減価償却費が12%となっている。
広告料収入は5億5,221万円で、前年比0.2%の増だった。車内広告が1億7,449万円で1.6%の増、車体広告は2億5,047万円で3.4%の減、広告付きバス停は1億2,725万円で6.0%の増となっている。
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その他気になるデータとしては、職員数は2,923人で前年度から35人の増。これ以外に再任用短時間勤務職員が73人(10人減)。また、職員平均年齢は48歳8ヶ月で3ヶ月の増。一人あたりの給与費は725万8千円で9千円の増(時間外・ボーナスや各種手当を全て含めた人件費であることに注意)。
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令和2年度は新型コロナウィルスの影響で上半期の乗客数が20-30%以上の減少が見込まれており、回復の兆しも見えていないことから、本年度の決算はかなり厳しいものになることが予想されるが、来年度の決算発表も注視していきたいところだ。
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▲交通会計部門の決算総表(交通局のサイトより)