都営バス資料館

低床-ニーリング機能

今のノンステップ時代では当たり前になったニーリング(車高調整装置)機能つきのバス。ニーリング(kneeling)とは「ひざをつく」意味の英語で、その動作になぞらえたものである。

最初に導入されたのは平成5年度車の都市新バス仕様で、いすゞのZ345, 346、三菱のZ366, 367が該当する。
更なる乗車のしやすさを目的として検討された機能で、貸切バスなどに搭載されていたエアサスを活用した都市新バス車の一部に試験導入することとなった。
いすゞ車の場合、既存の超低床車で採用した扁平タイヤを採用することで車高が約40mm 低くなり、地表面からステップまでの高さも低くなった。しかし、フロントオーバーハング部分の道路面とのクリアランスが低くなることで、坂道のアプローチ部分や車庫への出入り時の歩道面と干渉することも考えられた。
特に[都02](大塚駅~錦糸町駅)での真砂坂(文京区役所~真砂坂上)などは緩和勾配が少なく、都営12号線(大江戸線)の工事で道路が凹凸となることも考えられたため、前扉の第1ステップ高さを扁平タイヤ装着の低床車標準の275mm から310mm に僅かに上げてクリアランスを確保し、第2・3ステップの高さを標準の240mm から225・220mm へ変更し、ステップの段差を低くした。同様に、中扉も第1~3ステップが315・250・255mm に変更している。

偏平タイヤとステップ高の微調整により車体や車内の構造も少し影響を受け、車体のフェンダーアーチ形状が変わり、床面には微妙な傾斜が付けられている。さらに室内タイヤハウスの床面からの出張りサイズも高さ約5cm、前後方向に約6cm 短くなり、座席への着席しやすさも向上した。

ニーリングについては、タイヤ4軸部分のエアサスペンションの空気を抜くことで車高を50mm 低くできる。この装置は扉との連動装置が取り付けられており、連動にした場合は車両が完全に停止した状態で扉を開けた場合にのみ車高が下がるようになっている。そして、扉を閉めるとエアタンクの空気をサスペンションに送り込んで車体高を戻す。
このためにエアタンクを増設したが、路線バスは頻繁に扉を開閉させるため、エアタンクに空気が溜めるのが追いつかずニーリングの連続使用ができないという問題も出た。そのため、後の車では左側2軸のみニーリングが動作するように仕様変更されている。この仕様も好評をもって迎えられ、B 代以降もエアサス車である都市新バス仕様車やらくらくステップ仕様車などに標準搭載されるようになった。そしてノンステップバスでは全てニーリング機能を有するようになり、今では都営バス全車に対応した機能となっている。

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▲G-Z346 都営バス70周年記念式典でのお披露目
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▲K-Z367 外観の変化は特にない(タ)

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