平成30(2018)年6月上旬に、3月19日に開催された公営企業委員会の議事録が公開された。議題は平成30年度予算に関して事業全般の質疑が各委員(都議)から出されたもので、主にバリアフリーやオリンピックへ向けた対応についての質問が行われた。
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この中で都営バスに関するものは、オープンデータへの対応、外国人利用者に対する停留所QRコードの設置、バス停へのスマホ等充電器の設置、フルフラットノンステップバス・燃料電池バスへの今後の対応、オリンピックや今後の路線拡充についての対応、利用促進に向けたPR、旧大塚支所の状況、[里48]が主な話題となった。
気になる新情報はフルフラットを都心部の系統に導入し来年度以降も導入を続けること、燃料電池が今年度25導入で2020大会までに70導入予定、バス停にスマホ等の充電サービスを試験的に設置予定といったあたりだろう。以下、それぞれの項目について簡単に述べる。
多言語の案内
昨年発表された「都営バス構想2020」をもとに、英語も表示可能な発車案内(デジタルサイネージ)を駅広場などに昨年度までに13基、今年度は亀戸駅などに10基設置予定となっているほか、新型接近表示装置の拡大、バス車内のデジタルサイネージ2020大会までに1,000輛規模にすることが述べられたが、特に目新しい話はない。系統番号の英字化については特に触れられなかった。
バス停の利便性アップ
バス停へのQRコード貼り付けによる運行情報サービスへのアクセスについては導入に向けて検討を進めること、また、充電設備の設置については長時間停留所にとどまることで邪魔になるおそれもあるが、駅前広場などの歩道幅が広い場所で試験的に設置する方針が示された。場所を選定し、今年度には試験設置の見込み。
フルフラットバスの導入
フルフラットバスは国内の導入実績がないことから補助制度がないのが課題として取り上げられ、都営バスが運行実績を積むことで国に補助金制度の確立を目指し他事業者への導入意欲を高めること、また国内の自動車メーカーに生産を促して車両価格の低減を目指すことが述べられている。将来的には国産のフルフラットバスを導入する方向性を目指しているのだろう。
また、この後の導入までのプロセスとして、試験車両を生産し性能・排出ガス等が国内の法規に適合しているかの性能試験を行い、結果を国土交通省へ届け出て認定を得ること。量産車を生産し、国内で走行するための諸手続、乗務員や保守職員の習熟研修を行うというステップが述べられ、今年内には運行を開始する予定とされた。
導入路線については「高齢者が多い路線や車内が混雑する路線のうち、まずは、フルフラットバスをより多くのお客様や都民にPRできるよう、都心部や主要幹線道路を運行する路線等への導入」を検討しており、「営業開始後のお客様の意見などを車両の仕様等に反映させながら、来年度以降も順次導入していく予定」となっており、都心部の系統の導入がまずは主となりそうだ。
燃料電池バスの評価と今後
燃料電池については、今年度(D代)で25輛、2020大会までに最大70輛の導入予定となっている。現在までのところお客様からは非常に静かであること、燃料電池・水素タンクの故障は現時点でなく、乗務員からも運転しやすいとの感想が出ているとの評価が示された。デメリットとして、燃料費がディーゼルの2倍以上かかること、水素ステーションが休止した際に運行に支障が生じることが書かれているが、このことへの対策は特に示されていない。25導入だと一気に水素ステーション
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路線の拡充・オリンピック輸送
路線の拡充については「適切に行う」といった答弁のみで特に具体的な話はなく、有明営業所の設置が2020年3月であることが改めて言われた程度である。
オリンピック輸送については鉄道を基本とし、鉄道でのアクセスが難しい場所(海の森など)はバスを活用することになっているが、バス輸送で協議が深夜にわたる協議はないことから、バスの終夜運転については検討していないとのこと。議員からは週末など、ナイトライフの充実に向けた限定的な終夜運転についても提案があった。
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大塚支所の跡地利用
平成27(2015)年に閉鎖された旧大塚支所の利活用については、旧庁舎解体を完了し、埋蔵文化財の発掘調査・土壌汚染対策はほぼ完了し、残る隣接地の工事の施行に向け近隣調整を進めているところで、文京区と協議しつつ跡地利用について協議中となった。協議状況については非公開。
赤字路線対策
赤字路線への対策としてのPRについては、TOKYO都バス乗り隊歩き隊・ふれあいの窓やスタンプラリーと、現状でも様々に行っていることと、このようなパンフレットの設置場所として病院などにも働きかけている
沿線の議員もいたのか、[里48](日暮里駅~見沼代親水公園駅)の議題が上がった。23区内では最も営業係数が高い系統となっており、活用方法として、舎人ライナーの混雑対策で朝ラッシュ時にバスに定期で乗れるような仕組みが議員から提案されたが、所要時間に大きな差(ライナー20分、バス50分)があること、輸送力に大きな差があることから多くの課題があるという回答だった。