燃料電池バス(TFCB)が深川に2輛導入され、報道発表を経て平成29(2017)年3月21日より[都05丙](東京駅南口~東京ビッグサイト)で運転を始めた。市販車による運行は日本初となる。
燃料電池バスは燃料の水素を屋上最後尾に搭載したタンクから車体の燃料電池に供給し、空気中の酸素と反応して発電した電気エネルギーでモーターを動かすバスである。エネルギー効率に優れ、走行時に発生するのは基本的に水蒸気のみと非常にクリーンな乗り物となっている。豊田市のとよたおいでんバスや昨年度の交通局での実証実験の車は試作車で、市販車としては第一号導入となるようだ。ただし、原則として購入の形をまだ取れない車のため、リースでの導入となった。
▲S-B101[ゆる]
▲S-B102[都]
▲S-B101
概要
燃料電池自動車「MIRAI」に採用したTFCS(トヨタフューエルセルシステム)を採用し、最高出力7.2kW、大容量235kWh の外部電源供給システムを採用しており、停電や災害時に避難所や家電の電源として利用可能となっている。局番は「B101, 102」で、既存のB代車から一周して100番台に戻った。デザインは既存の都営バスとは全く異なり、実証実験時と同じく青色とを主体にしたデザインで、後輪部分に東京の景色がうっすらと描かれている。TOYOTAのロゴやキャッチコピーが大きく入っているのが今までにない要素だ。以前の実証実験の運行時とほぼ同じ車体デザインであるがガスタンク部が容量拡大に伴い幾分大きくなった。
車体は既存の日野ブルーリボンシティをベースにハリボテ状の装飾を被せている。中扉は外側に開くアウトスライド(プラグ)ドアになっている。戸袋をつけるとピラーの位置や行先表示の都合で中扉の格納が難しく、今後の実験も兼ねているのだろう。車体の尺は10.5mで既存の都営バスの各車と同レベルとなっている。表示器は二次車と同じくオージ製のフルカラーLED 表示器で、都営バスでは初のフルカラーLED表示となった。各面のステッカーパーツ(みんくるシール、車いすマーク、ノンステップマーク、都営バス表記)は既存の車と同様。各面に「FULL CELL BUS」のロゴが描かれている。
▲スイングドア機構
なお、車体のキャッチコピーは当初赤字の「WHAT WOWS YOU」だったが、トヨタのグローバル企業チャレンジスローガン制定に伴い、平成30年春頃からは白地の「START YOUR IMPOSSIBLE」に張り替えられた。
▲S-B102[五] 新キャッチコピー
内観
座席は堅めの樹脂製?の椅子で、チェック柄の青地のモケット。両側の最前席ともに設置されており、座席定員は中扉以後4列(非ラッシュ型)、両側最前列の席はありで26席となっている(定員77)。車内は都営バス独自仕様の点は少ない。手すりの配置により後部からの車内の開放感が大きいほか、窓ガラスが強化プラスチックだったり、運転席脇のフルオートエアコンや乗用車のようなシフトだったりという点は目新しいが、試作車ということもあるのだろう。跳ね上げ式の車椅子用スロープ板はあるが、それとは別にノンステップ部の座席後ろに携帯用のスロープ板の格納箱を設置したのが目新しい。
▲内観・座席など
▲運転席
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水素スタンドは有明一丁目バス停近くに開設したイワタニの水素ステーション有明を使っており、原則2日に1回のペースで充填している。