都営バス資料館

LED表示のあゆみ

 都営バスの事業開始以来、行き先表示はフィルムや布等でできた方向幕が標準で、あらかじめ印刷された表示を回転させることが行き先を表示していた。初めてこれ以外の表示を採用したのは、平成7年度に液晶表示の行き先表示を採用した品川営業所のB657号車である(写真)。
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新たな行き先表示方式の試験として導入されたが、当時の液晶は単色で、黄色地に灰色の文字が浮かび上がる昔ながらの仕様だった。直射日光にも弱く、お世辞にも見やすいとは言えない代物で、その後方向幕式に戻されてしまった。
 その次に試験的に採用したのが平成13年度の新宿支所の2輌(H107, H108)、北営業所の2輌(H115, H116)の計4輌である。当時、鉄道では行き先表示にLEDが使われることが多くなっていたが、直接屋外を走行し、表示面積も広く視認性が問題となるバスでは少しずつ出てきたばかりであった。このときは4輌で視認性や耐久性、分かりやすさ等をテストした。表示方式は現在の機種とは異なっており、特に新宿の車については系統番号の表記や側面の停留所数にも4箇所と異なっている(写真)。
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 しかし、従来の方向幕と比べると、表示内容が限られ、また色を使った案内ができないことがマイナスと評価され、続く平成14・15年度のK・L代については基本的に方向幕車での導入となった。ただし、L代のうち渋谷駅~六本木ヒルズを結ぶ専用車3輌については、当初からLEDでの導入となっている。
 しかし、平成16年度のM代車より、全面的にLED車の導入を始めることにった。理由としては、初期導入コストは高いが移管や停留所の変更等による変更が簡単なことや、イベント時の臨時表示が臨機応変に可能なこと、また、今までの方向幕を作る業者が生産を完了したこともあり、将来を通じた調達に不安があることから切り替えることとなったものである。幕では可能だった表現が狭くなることや、単色しか使えないという案内品質の劣化と天秤にかけた結果、事業者のメリットを取ったということだろう。

 この後に導入された新車は全てLED表示の車となったが、それ以前の車についても表示器の改造が行われることになった。まずはコマ数が多い品川・江戸川・深川の各車庫について、比較的新しいHKL代(平成13~15年度)車を全て改造することになり、平成18年12月から翌年3月にかけて交換された(L代の日野HRを除く)。
 明けて平成19年度にはL代のうち、品川・早稲田・大塚・北・千住・江東・江戸川・深川・臨海のL代が9月から12月にかけて改造された。そして平成20年度に入ると、10月から12月にかけて残りのL代が全車LEDに改造され(夢の下町バスを除く)、さらに平成21年1月から4月にかけてはK代の全車も改造され、一気にLEDの比率が高まった。さらに平成25~26年にかけて青梅・品川・深川・江戸川・杉並と相次いでLED化の完了が進み、平成30年には一般路線車の方向幕車がなくなり、令和元年末には唯一方向幕で残っていた東京夢の下町専用車が姿を消し、全てLED車となっている。
 都営バスは、LED採用事業者の中では各面とも大きいサイズの表示板を採用しているが、それでも方向幕に比べると大きく表示内容のレベルが低下していることは否めなかったが、そのような中で平成29(2017)年2~3月登場のB代二次車では、各面がオールカラー表示可能・側面フルドットの行先表示機を採用し、一気にレベルアップした。

機器はオージ製で全てのドットがフルカラー表示可能な仕様で、東京近郊では舞浜のディズニーセレブレーションホテルの送迎バスで確認できる程度だ。他社は「前面系統番号のみフルカラー」、「側面は上1行だけフルカラー」などの仕様もある中、最も高機能な選択となった。
登場時はまだ準備が整っていないためか、運行開始当初は白3色の表示のみとなり、フルカラー表示は平成29(2017)年3月の燃料電池バス2輛から始まった。各面とも五角形のような系統枠から横線を伸ばしたようなデザインが特徴的である。レシップの系統部分のみカラー表示との違いをアピールする意味もあったのか、四角形の枠からはみ出すデザインという目的もあった模様だ。それ以外のB 代2次車では、同年7月よりROMを入れ替えて、フルカラーの表示が始まった。
同時期に渋谷・江東・深川の一般車の一部(34輛)でフルカラーLED 対応機種への交換が始まり、行先表示のフルカラー表示が開始された。今までの橙色LED 車がフルカラーに交換されるのは初めてのことで、B 代2次車と同じ機種に交換されている。

系統番号の部分は燃料電池のように系統番号を五角形の枠にした表示で、ラインカラーはみんくるガイドの路線色に準じている。ただし、系統番号は1ドットしかふちどりがなく、夜間だと眩しく潰れるためかなり見づらい。後から作った車庫の分については、系統番号の数字を一回り大きくすることで対応している。
各面ともに、文字は原則としてオージの内蔵ROM の文字が使われており、既存のMSゴシックのフォントを無理やりドットに当てはめた見た目が美しくない問題はとりあえず解決した。
改造された車は次の通り。
渋谷…T代~以降の全車(他車庫からの転入を除く)
江東…V・W 代の17輛
深川…Z508~511、A代~以降の全車
カラー表示はオージの全面協力のもと制作されたようで、みんくるなどはイラストの画像取り込み機能なども活用している。側面も停留所が3個以下であれば花火表示が出るようになった。写真を取り込んでの表示も検討されたが、実車表示では映えないということでイラストになったようだ。
また、色はみんくるガイド発行のラインカラーに準じているが、おおむね明るめの色になっている。また、赤などのピンポイントで使えない色については代わりの近い色を使っている。
今までの深夜や花火つきの系統番号の表示については、系統番号とイラストの表示を分離し、イラストを右端に持ってきている。その結果、行先の部分が狭くなっているが、系統番号が目立てばよいというポリシーなのだろう。なお、その時点で3色LEDに搭載されていた表示は基本的にフルカラーLEDバージョンも作られている。
回送車や貸切、都営バスにはみんくるが各面に出ている。回送車はお辞儀するみんくる、都営バスは側面に半身を見せているみんくるなど、それぞれ特徴的だ。

 平成30(2018)年度のD代からは一般路線車の全車がフルカラーLEDとなり、一気に各車庫への採用が広まった。現時点では実車で登場していない車庫は品川のみ庫だが、今後はフルカラーが標準となり、都営では3色のほうが珍しい時代になっていくのだろう。夜間の視認性も含め、より見やすい表示を目指すことを期待したい。

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