都営バス資料館

梅74

[梅74]←[302]

担当営業所

青梅支所

運行区間・運行回数

系統・枝番 起点、経由地、終点           備考 キロ程(往/復) 平日 土曜 休日
梅74甲 裏宿町~柳川~岩井堂~成木市民センター~柳川~裏宿町 26.560km 1 2 1 1 2
梅74甲折返-4 裏宿町→柳川→成木市民センター→岩井堂→柳川→青梅駅 25.190km 1 1 1 1 1
梅74甲折返-3 裏宿町→柳川→岩井堂→成木市民センター→柳川→青梅駅 25.190km
梅74甲折返-2 裏宿町→柳川→成木市民センター→岩井堂→柳川→青梅車庫 25.990km 1 2 1 2
梅74甲折返-1 裏宿町→柳川→岩井堂→成木市民センター→柳川→青梅車庫 25.990km
梅74甲折返-3 青梅駅→柳川→岩井堂→成木市民センター→柳川→裏宿町 25.190km 1 1 1
梅74甲折返-1 青梅車庫→柳川→成木市民センター→岩井堂→柳川→裏宿町 25.990km 2 2 1 1 1
梅74甲折返-2 青梅車庫→柳川→岩井堂→成木市民センター→柳川→裏宿町 25.990km
梅74甲折返-13 青梅車庫→柳川→成木市民センター→岩井堂→柳川→青梅駅 24.620km 1 1
梅74甲折返-12 青梅車庫→柳川→岩井堂→成木市民センター→柳川→青梅駅 24.620km
梅74甲折返-11 青梅車庫~柳川~岩井堂~成木市民センター~柳川~青梅車庫 25.420km 1 1 1 3
梅74甲折返-6 柳川→岩井堂→成木市民センター→柳川→青梅車庫 18.870km 1 1 1
梅74甲折返-5 裏宿町~柳川~岩井堂 11.860km 1 1
梅74甲折返-10 青梅駅~柳川~岩井堂 10.490km
梅74乙 河辺駅北口~柳川~岩井堂~成木市民センター~柳川~河辺駅北口 23.240km 1 1 3 2
梅74丙-1 河辺駅北口~柳川~岩井堂~成木市民センター~柳川~裏宿町 24.900km 3 2
梅74丙-2 河辺駅北口~柳川~岩井堂~成木市民センター~柳川~裏宿町 24.900km 1
梅74甲折返-9 青梅駅→柳川→成木市民センター→岩井堂→柳川→河辺駅北口 23.530km 1 1
梅74丙折返 河辺駅北口~柳川~成木市民センター~岩井堂~柳川~青梅車庫 24.330km 1


現在

年表

系統 年月日 営業所 距離 概要               
303 S26. 9.23 青梅 14.900km 青梅(現青梅車庫)~岩井堂~成木村役場(現成木市民センター)が開通
303 S37.12.16 青梅 16.900km 東青梅付近の経路変更
303 S38.12.15 青梅 16.870km 岩井堂~上畑付近の経路変更
303 S41.12. 1 青梅 16.020km 東青梅付近を農林高校入口~六万公園~東青梅駅~六万公園~東青梅から農林高校入口~東青梅駅~六万公園~東青梅に変更
303 S41.12.15 青梅 16.020km 両郡橋~下畑の経路変更
303乙  S43.11. 9 青梅 24.320km トンネル回りが開通、青梅~岩井堂~成木出張所(現成木市民センター)~青梅を開設
303折  S47. 4. 1 青梅 13.470km 青梅~岩井堂を開設
303甲  S47. 4.15 青梅 18.320km 成木支所前(現成木市民センター)~青梅第十小学校(現北小曾木)を延長
梅74 S47.11.12 青梅 *** 新番号化、梅74とする
梅74甲 S51. 4.15 青梅 18.520km 青梅駅付近で駅に乗り入れるよう経路変更
梅74乙 S51. 4.15 青梅 24.720km 同上
梅74甲 S63. 3.13 青梅 25.120km 青梅第十小学校行きを梅76と経路振替、青梅~成木循環~青梅に変更
梅74乙 S63. 3.13 青梅 22.490km 従来の乙を甲とし、河辺駅北口~成木循環~河辺駅北口を開設
梅74丙 S63. 3.13 青梅 24.030km 青梅~成木循環~河辺駅北口を開設
梅74  H 6. 6. 1 青梅 25.120km 青梅を青梅車庫に改称
梅74甲 H 8.11.25 青梅 25.420km 新吹上トンネルが開通のため、トンネル部の経路変更
梅74乙 H 8.11.25 青梅 23.420km 同上
梅74丙 H 8.11.25 青梅 24.330km 同上

路線概要

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[梅74]は青梅線宮ノ平駅近くの裏宿町を起点の[梅74甲]と河辺駅を起点とする[梅74乙]があり、成木地区を循環して再び起点へと戻る路線である。
裏宿町発着は[梅76]の項に譲るとして、ここでは、河辺駅北口始発便を紹介しよう。
青梅市の新市街地・商業中心地といえる河辺駅北口。駅前は歩行者デッキが屋上に整備され、駅前も再開発でスーパーや図書館、駅前温泉まであるなど青梅市内でも随一の賑わいを見せるところと言えるだろう。ここから1日数本運行されているのが[梅74乙]成木循環である。
便数は青梅エリア発が多いが、河辺駅発着で運行されている便の時間帯を見ると、買い物に都合がよいようなダイヤが組まれているように感じる。
河辺駅北口を出発したバスは駅前の目抜き通りを一路北へ。この辺りは青梅地区と違いマンションやアパートを多く見かける。河辺駅北交差点で青梅街道を越えて霞台第二住宅を過ぎた交差点で左折、ここから都道63号線(豊岡街道)を東青梅駅方面に向かう。六万公園まで来ると裏宿町・青梅車庫発の便と合流して東青梅駅北口。青梅線からの乗り継ぎ客を多く乗せる。交差点を右折してバスは成木街道へ。成木街道に入ると緩やかな上り坂が続き、道路の両脇には戸建ての住宅が建ち並ぶ。途中に多摩団地入口という停留所があり、停留所名から多摩ニュータウンのような団地を想像しがちだが、ここに戸建て住宅の分譲地である。そして成木街道から多摩団地を抜けて小曽木街道へと抜ける中山通りには、青梅市と姉妹都市提携を結んでいるドイツのボッパルト市にちなんだ愛称が付けられている。
多摩団地入口停留所付近から成木街道の勾配はきつくなっていく。坂の頂点には聖明福祉協会前停留所が設けられ、ここから一気に坂を下った所に柳川停留所に到着する。
この区間は[梅76]の上成木発着も運行しているため、2系統あわせると本数が確保されているが、両系統の運行時間が接近している事もあり、間隔がバラバラなのが玉に瑕かもしれない。
柳川から先は循環運行するエリアで外回りがトンネル回り、内回りが小曽木回りとなっている。またこの区間は自由乗降区間でもあり、停留所以外の場所でも乗降が可能だ。
小曽木回りのバスは交差点を右折して、黒沢川に沿って小曽木街道を走っていく。途中に東京炭坑前という停留所がある。東京に炭鉱? と驚くかもしれないが、昭和10(1935)年に操業開始した炭鉱で、最盛期には従業員40人弱が働く企業となり、日産500トンの石炭を算出していたという。ここで取れた石炭は主に暖房用燃料として使われていたが、肥料としても使われていたそうだ。しかし昭和20年代後半になると価格が安い石炭や石油が普及するようになり採掘量も年々減少、ついに昭和35(1960)年に閉山となった。その昔は縦坑跡も残っていたようだが、今ではバス停名だけが東京に炭鉱があったことを示す歴史の生き証人として残るだけとなった。なお、並行する西武バスは「東京炭鉱」と漢字が違うのが面白い。
東京炭鉱前の次は岩藏温泉。東京都内唯一の温泉郷として5軒の旅館が営業しており、日帰り入浴も可能な旅館もある。泉質は湧出温度20℃のアルカリ性の冷鉱泉である。
岩井堂には転回場が設けられ、[梅74]が平日に2回折り返すほか、西武バスも僅かながら飯能駅~岩井堂の折返を運行している。本線の停留所は折返所を過ぎたところにあり、岩井堂始発は折返所からの発車となっている。
 富岡一丁目を過ぎると、バスは成木一丁目四つ角の手前まで埼玉県内を走行する。かつては川崎駅、市川駅や浦安など、都営バスが都県境を越えて越境運行する路線が各地にあったが、長距離路線の整理が進んだ現在となっては、都外を運行する唯一の区間となっている。これは走行している道路の都合によるものだが、生活圏が青梅に向いていることもあるためか、埼玉県内にも下畑・上畑停留所の2箇所が都営バス唯一の東京都にない停留所として設けられている。
また、この区間には国際興業の[飯11](飯能駅~間野黒
指)も停車する。再び都内に戻って成木一丁目四つ角。国際興業の[飯11]にも同名の停留所が存在するが、都営バスとは別の場所に停車する。
しばらく走ると成木二丁目自治会館。毎年7月になるとほたる祭りが開催される会場の最寄り停留所で、祭りの時には専用のLED行先表示入りの臨時バスが東青梅駅から会場最寄りの臨時停留所まで運行しているが、この臨時バスは直行運転ではなく沿線の各停留所に停車している(臨時バスは後述)。
のどかな田園風景のなかを都営バスは走ると、右側に学校が見えてくる、成木と小曽木地区唯一となった成木小学校で、以前はここから[梅78]というスクールバス混乗路線が運行されていた。次は青梅第七中学校と学校前の停留所が続く。
成木市民センターで[梅76甲乙]と合流し、黒沢から
新吹上トンネルを抜けて坂を下ると柳川に到着となり、元の経路に戻る。この区間は[梅76]も参照のこと。
成木地区を1周するだけでも約30分と乗りごたえ強く感じられる路線である。ここからバスは再び河辺駅・青梅駅/裏宿町へと走っていくが、循環系統と言っても必ずしも全便が出発地点へ戻るわけではなく、青梅エリアを出発した便が成木地区を1周して河辺駅に向かったり、その逆パターンもあったりするので利用の際は注意が必要。むしろそういう便を狙って乗り通してみるのも面白いかもしれないが、全区間乗り通すと25km程度とかなりの距離になり、[梅70]の全区間並みの運賃となるのでご注意を。

歴史

 [梅70]の開業から4年後の昭和26年に、青梅市の中心部と成木・小曾木地区を結ぶ路線バスとして開業した。都営バスのエリアとは全く関係ないのに単独路線として開業したのは興味深いところだ。当初の終点は成木村役場(現成木市民センター)で、付近は昭和30年3月までは成木村という別の自治体だった。
 細かい経緯はよく分かっていないが、これらの地区から路線開設の要請があったのだろうと思われる。付近の路線としては、戦前より青梅~柳川~岩井堂~飯能(→西武バス[飯41])が運行されていたが、ここから成木地区にはバス便がなかった。青梅~飯能については、戦前戦中に物資不足で1日数本に減便され、運行時刻が不正確など利用者の不満が大きかったが、競合する都営バスの開通で改善された(小曾木郷誌、昭33)などと記述されていることからも、ある程度期待されていたのは確かなようだ。
 当初は成木~柳川をショートカットする吹上トンネルを経由せず、全便岩井堂・小曾木を経由する大回りの経路だった。本数は昭和30年には1日5往復だったが、昭和44年には10往復にまで倍増しており、その後は今に至るまであまり変化していない。
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▲昭和35年10月現在
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▲昭和40年1月現在
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▲昭和44年1月現在
 青梅市街地の経路も現在とは異なっており、開通当初は成木街道の東青梅のバス停を出ると旧青梅街道との交差点(以下交点)で右折して青梅線の踏切を渡り、青梅駅へと一直線に向かっており、東青梅駅前に入らなかったこれが、昭和37年に交点から青梅市役所~東青梅駅(南口)までを往復して立ち寄るように変更された。市役所と最寄り駅への連絡も兼ねてということだろう。さらに昭和41年に、交点~青梅市役所~東青梅駅(南口)~農林高校(現青梅総合高校)~青梅駅と、東青梅駅周辺を一周するように変更されて現在の経路が完成した。
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▲昭和40年1月現在
 成木側も、昭和40年代に入ると変化が起こる。まず、昭和43年に、吹上トンネルを活用したショートカット線(青梅~柳川~(吹上トンネル)~成木)が開業した。ただし、実態としては当時から循環線の扱いであった(青梅~柳川~(吹上トンネル)~成木~岩井堂~柳川~青梅)。本線の枝線という扱いで、始発最終のみの運行だったようである。なお、昭和45年頃までは、西武バスも日向和田車庫~青梅駅~([303]循環線と同じ)~青梅駅~日向和田車庫という循環線を運行しており、共同運行のような状態だった。
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▲昭和50年4月現在
 昭和47年には、本線が成木から南下して青梅第十小学校(現北小曾木)まで延伸された。同時期に青梅~柳川~(吹上トンネル)~成木~岩井堂の折返線も開設され、昭和50年代は青梅~小曾木~岩井堂~成木~第十小学校、青梅~成木~岩井堂の2系統を基本とし、少数ながら青梅~小曾木~岩井堂~成木~青梅の循環線が運行されるという複雑な形態であった(上図)。
 昭和50年に西武バスから路線を引き取って[梅76](吉野~上成木)が開通した後も、しばらくはこの形態が続いた。変化が起きたのは昭和63年のことである。青梅第十小学校(現北小曽木)近辺から見ると、岩井堂・小曾木を大回りして行くのは効率が悪いということか、[梅76]と経路を一部振り替え、青梅十小には[梅76]の一部便が立ち寄るように変更した。
[梅74]は青梅~小曾木~岩井堂~成木~青梅の循環線を基本とするようになり、同時に青梅車庫発着でなく東青梅から分岐して河辺駅北口を発着する便も誕生した。また、岩井堂折り返しは従来とは逆回りに、青梅~小曾木~岩井堂という形で運行されるようになった。
 これにより、柳川以北から青梅駅へは実質的に本数が倍増したとも言え、効率的な運用が可能になったが、運行形態自体は前より複雑化した。柳川以北の循環部分は両方のバス停に市街地方面行きが来る上、時間帯によって回り方が変わるわけでもないので、初めて来た場合は分かりづらいとも言える。
▲平成元年現在
 さらに、平成10年には一部便に限り青梅車庫から裏宿町まで延伸され、市街地側の始発は河辺駅と青梅駅・青梅車庫・裏宿町の4種類に増加し、運行パターンはさらに複雑になった。それ以降はダイヤの骨格も含めてほとんど変わっていない。河辺駅発着は少数に留まっているが、今となっては青梅駅よりも河辺駅のほうが栄えており、将来的にどうしていくのかは気になるところだ。現状の実態としては東青梅駅での乗り降りが最も多く、特に青梅駅方面行きは、柳川側から来た乗客の半数以上は東青梅駅付近で下車しているため、ここが実質的なターミナルとも言えそうだ。
 収支は非常に悪いと考えられる。昭和54年度は1,444人/日だった平均乗降客は平成5年度には1,083人/日に減り、平成24年の調査では671人/日となっている。少子化、過疎化が進んだこともあるのだろう。収支係数は平成初期まで150~200程度となっており、現状もこの水準より下なのは間違いないと思われる。昭和59年より青梅市が赤字額を補填して本数を維持しているが、今後の動向は少し気になるところだ。
ほたるを見る夕べ
 青梅市は自然が豊かということか、ホタルの生息地が何か所かある。成木市民センター~岩井堂まで[梅74]沿線に沿って走る成木川もその一つで、毎年6月末には青梅の初夏の風物詩として「ホタルを見る夕べ」が青梅市主催で開催される。
 最寄りは成木二丁目自治会館となるが、バスでないと不便なこともあり、開催時間帯に[梅74]東青梅駅~岩井堂~成木二丁目自治会館という臨時便が運行される。従来は行き先を紙などで掲示していたが、行き先表示のLED化が進展したことに伴って、平成20年頃にホタルのイラストが入った系統番号つきの表示が新たに作られた。手の込んだドットのイラストで、なかなか風流なものである。

フリー乗降

 地方のバス会社では、乗客の利便性を考慮して停留所以外での乗り降りも認めるというフリー乗降制度を実施しているところも多いが、実は都営バスにも存在する。昭和60年6月より導入されたもので、柳川以北の全区間が該当し、[梅74][梅76]と、かつての[梅78](蜆沢~成木小学校)の全区間が対象となっている。当初は柳川~岩蔵~岩井堂の区間は除かれていたが、平成元年頃に全域に拡大された。前面に「フリー乗降区間 柳川以北」という専用の青色の看板を掲げているのが特徴である。危険でない区間や、停留所に近接したようなところを除き、運転手に申告したところで降りることができる。
 柳川にて「なお、柳川から先の通過区間は、フリー乗降区間となっております。停留所以外でも、自由に乗り降りできますのでご利用下さい。」という放送が入るのも特徴で、公式サイトでは目立って案内されていないが、知られざるサービスの一つと言えるだろう。また、並行する西武バス[飯41](東青梅駅・河辺駅~飯能駅)でも、柳川~岩井堂の並行区間ではフリー乗降サービスを実施している。
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▲多摩地域都バス路線案内(1996)より

行き先表示

 路線形態が特殊な[梅74]は、行き先表示においても工夫されている。循環路線となるため、青梅駅・河辺駅の発車時点では「トンネル回り 成木循環」「小曾木回り 成木循環」と同じ大きさで記され、どちらが先回りになるかを重視した書き方になっている。当初は「トンネル回り 青梅車庫」のように、最後の行き先を表示した書き方になっていたが、分かりづらいということか、平成初期辺りに改められた。側面の表示も、終点を明記せずに循環部で表示が一旦切れており、循環路線の書き方という点では、なかなかの分かりやすさだったように思われる。
 柳川を過ぎ、循環部に入ると表示が変更され、「青梅車庫」「河辺駅」のように、市街地側の終点だけを表示するようになる。ただし、「裏宿町」だけは単独では分かりづらいということか、「青梅駅経由」の文字が入る。

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