都営バス資料館

×墨38

[墨38]

担当営業所

青戸支所

運行区間

系統 区間 距離 備考
東京都リハビリテーション病院~白鬚橋~業平橋駅~本所2~両国駅 7.280/ 7.710km

年表

系統 年月日 営業所 距離 概要
墨38  H 3. 7. 1 千住・青戸 7.280/ 7.710km 墨田区の要請で東京都リハビリテーション病院~両国駅が開通
墨38 H15. 4. 1 南千住 *** 南千住に移管
墨38  H18. 4. 1 青戸 *** 青戸に移管、はとバスに運行を委託
墨38  H27. 4. 1 青戸 *** 東京都リハビリテーション病院~両国駅を廃止

路線概要

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 墨田区の補助で走っていた路線。両国駅から隅田川沿岸の墨田区西部・北部の地域を結ぶように走り、首都高堤通出入口付近の東京都リハビリテーション病院が終点となる。
 墨田区の南端、相撲で有名な両国を出発したバスは京葉道路へ左折し、緑一丁目交差点で清澄通りへ再び左折し北上する。江戸東京博物館が見えてくると都営両国駅前。都営地下鉄大江戸線の乗換はここが便利だ。
関東大震災の慰霊碑のある横網町公園を左に見て、本所一丁目交差点を右折して春日通り、本所三丁目交差点を左折して三ツ目通りを北上、吾妻橋交差点を右折して浅草通りへ入ると本所吾妻橋停留所に到着する。三ツ目通り沿線とJR総武線の連絡を意識したのか、このようなジグザグな経路となっている。業平一丁目交差点を左折、東武橋を渡ってとうきょうスカイツリー駅前を過ぎ、押上二丁目交差点を右折し、バスは曳舟川通りへと進んでいく。
ここから先は[墨38]のみが走る単独区間となっている。東武線の高架下を通過すると、墨田区曳舟文化センター前停留所。東武曳舟駅の最寄りであるが、区要請路線ということか、バス停名には公共施設名が優先されたのだろうか。
曳舟川交差点で明治通りへと左折し北上する。白鬚橋東詰交差点で墨堤通りへ右折するが、明治通りから墨堤通りへは直接右折することが出来ず、いったん交差点を通り過ぎ、白鬚橋手前の交差点をUターンするように曲がって墨堤通りへのアプローチ路に入る。
墨堤通りへと入ると、バスは都営白鬚東アパートに沿って走る。この都営アパートは1号棟~18号棟まであるマンモス団地であり、しかも1号棟~18号棟と、さらに都住宅供給公社のコーシャハイムとがすべて繋がっているという例を見ない構造となっている。その総延長は約1.2Kmにも及ぶ。このような構造となっているのは、地盤が軟弱なうえに住居や工場が密集している地域の防災力を高めるべく、東京都が防災6拠点の一つとして「白鬚東地区防災拠点」して整備されたことによる。万が一、大震災等によって市街地火災が発生した場合は、都営住宅の各号棟を結ぶ通路と部屋の防火シャッターが下り、防火壁として機能するようになっていた。大震災時の避難広場としての役割をも果たす。
墨堤通りを都営アパートに沿って北上したバスは、左折して13号棟と15号棟の間の道路に入り込み、終点の東京都リハビリテーション病院に到着する。汐入地区の再開発で水神大橋も開通し、南千住駅もさほど遠くない距離となり、[墨38]の延長も期待されたが、実現されずに今に至っている。他区への乗り入れが憚られるのは、やはり大人の事情だろうか。

歴史

 系統番号の「墨」は墨田区の文字である。平成に入った頃より墨田区内に不足している南北を結ぶ交通の充実を墨田区が要請し、運行経費の赤字を補助することで平成3年7月に開業した。
 都営バスの運行に対する区市町村の費用負担は昭和56年度から始まった上野~浅草の二階バスに対するものが最初である。その後、青梅地区の系統や品98・木11を始めとした臨海部の系統(港湾局負担)、[東42乙](台東区)で実施され、この系統もそれに倣って補助を受けてのスタートとなった。扱いは、大江戸線の厩橋(墨田区側)駅の設置要望に対する代替措置という位置付けで、東京都と協定書を結ぶこととなった。
 もっとも、補助を受ける系統であるということは独立採算では到底成り立たないということである。交通局が収支係数を公表した最後の年度である平成5年度のランキングでは、並みいる青梅地区の系統を押しのけて、収支係数265のワースト1を獲得した。
ルート自体が錦糸町・押上など集客力のある地点を避けるように走っているのに加え、担当が青戸・千住の半々の共管であり、車庫との回送出入庫のコストも馬鹿にならなかったと想像される(全運用で車庫~リハ
ビリテーション病院の間を回送する出入庫だった)。もっとも、費用補填の効果により運行本数は開通当初の水準が20年近く維持された。
 平成15年4月からは最も近い南千住単独での担当になり、回送ルートも短縮されたが、平成18年度からは運行コスト圧縮のためか青戸に再び移管され、はとバス委託系統となった。収支改善なら、リハビリテーション病院から南千住駅東口まで延伸し、総武線側も錦糸町駅を発着させるのが素人考えながら思いつくが、区の意向なのか、ルートは変わっていない。
 平成12年度以降の収入額や赤字額の表を以下に示す(墨田区議会議員のサイトより)。おおむね収支係数は200前後で安定しており、区は赤字の半分を負担してきたことが分かる。
[墨38] 赤字額・墨田区支払額 単位:千円
年度 収入 支出 赤字 墨田区支払
H12 82,956 175,409 92,453 46,330
H13 87,546 168,811 81,265 46,227
H14 84,699 178,256 93,558 40,633
H15 80,519 165,378 84,859 33,260
H16 75,161 155,843 80,682 42,430
H17 82,663 158,762 76,099 40,341
H18 81,368 164,171 82,783 37,758
H19 84,249 163,525 79,276 41,392
H20 80,372 168,473 88,101 39,638
H21 79,039 163,232 84,193 43,348
H22 98,569 161,670 63,101 42,097
H23 88,616 165,992 77,365 31,551
H24 (50,000) (24,050)
(出典:http://ose.blog.so-net.ne.jp/2014-04-30、平成24年度の額は見込み額)
だが、東京スカイツリーの開業に触発されたか、墨田区も自前でコミュニティバスの運行を検討、平成24年3月から「すみだ百景 すみまるくん」の運行を開始し、京成バスに運行を委託した。これとともに交通の軸足もすみまるくんに移ったのか、平成24年4月から[墨38]は本数がおよそ半減(平日33→18往復)した。
 この年度限りで廃止は回避されたものの、平成25年度からは18→14往復とさらに本数が減り、区の補助を赤字の半額から赤字の2/3に拡大し、補助も2年を限りとすることになった。平成26年の墨田区議会(都市開発・災害対策特別委員会)では区が補助金をこれ以上出さない方針とされていた。既定通り平成27年3月限りで廃止となったが、しかし、すみまるくんだけでは代替にならないということか、墨田区議会等の要請に応じた形で、スカイツリー駅~リハビリ病院の区間は残しつつ都営単独の新系統[錦40](南千住駅東口~錦糸町駅)として再スタートを切ることになった。

墨田区曳舟文化センター

 [墨38]の単独区間にある停留所で、曳舟駅最寄りでもあるためか主要停留所の扱いで、側面方向幕にも記載されている。ところが、停留所が微妙に長かったためか省略されてしまった上に、共管同士で表記が異なっていた。千住は「墨田区文化センター」、青戸は「曳舟文化センター」という表示だった。普通は表示を合わせるものだが、どこかで行き違いがあったのだろうか。その後、南千住は青戸バージョンが継がれ、現在は「曳舟文化センター」となっている。

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